真ん中バースデーの奇跡② こんこん。
休日のお昼過ぎ。
午後の面会時間が始まって間もないというのに、その病棟はしんと静まり返っていた。
少し離れた別棟の方からは、小さく、でも幸せに満ちた笑い声が、さざ波のように響いているというのに…
その日、ボーダーのエリート隊員・迅悠一は、後輩・空閑遊真のお見舞いに来ていた。
正確には、遊真を見舞いにきた三雲修に用事があったのだが。
静かにドアをノックしたが反応がない。
「あれ…返事がない」
いつもなら優しい声が、
「はい、どうぞ」
って返ってくるのに。
ドアの前で軽く首を傾げながら、居ないのかな…と呟きつつ、もう一度ノックしてみる。
こんこん。
だがやはり返事がない。
この時間はいつも彼はここにいるのだが…と思いつつ、そっと迅は扉を開いた。
1978