snmさん友達が上手く作れない義勇さん。幼馴染で先輩の宇髄に教えてもらってSNSをやることに。何をして良いか分からず、宇髄さんが言うまま彼とのツーショットを上げてみた。
するとたまたま画像が流れてきて何気なく見ていた人達からこの顔の良い子は誰だと地味に話題になり、元々SNSでバズってた宇髄の知人だと言う事で余計に人気が出てしまう。
中でもアニメのキャラの私服等を真似て着てみた画像がとても人気で、多くの♥を貰えた。コメントも多く、何だか沢山の友人が出来たみたいだ、と喜んでいたが、中でも「snm」と言う人からのコメントが一番待ち遠しかった。snmは義勇がSNSを始めた初期から反応をしてくれていた人物だ。画像を上げる度にsnmからの反応を期待してしまう。この服はどうだろう、あんまり肌が見えるのは好きではないようだ、可愛いと褒めてはくれるが女装に近いのは好みじゃないらしい、と最近ではsnmの喜びそうなものを選んで着ることが増えた。
何を着ても似合うので人気に拍車がかかり、誰よりも先に反応するsnmのコメントを辿るのが大変になった頃、突然新しい画像を上げてもsnmが♥やコメントをしなくなった。最初は病気だろうか、忙しいのかな、など心配していたが、それが２枚目、３枚目と続くと不安になり焦りになった。
俺に飽きたのか？もう仲良くしてくれない？と泣きながらsnmが怒りそうな露出多めの服装で写真を撮りアップする。可愛い！肌綺麗！贅肉が無い！など称賛するコメントが多く来たがsnmだけが無反応だった。承認欲求は満たされても、本当に欲しいただ一人が自分を見てくれない。活動に意味を感じなくなった義勇はSNSを辞めることを考えながら、鍵付きで「snmさんに会いたい、もし会えるなら何でもするのに」と打ち込んで眠りに就いた。
次の日、仕方なく通学する義勇。宇髄に（もうSNSは辞める）と送り、とぼとぼ歩いていると後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには同じクラスの不死川がいた。彼は義勇とは正反対の人間で、明るくて友人も多く人に好かれる人間だった。そんな人がいったい何の用だろう。義勇が首を傾げると、不死川はあっという間に近付いて来て、義勇の耳元に唇を寄せて囁いた。
「お前どんだけ俺のこと好きなの」
「ぇ……？」
不死川の薄い唇がニヤリと笑う。義勇の目を瞬き一つせず見つめながら、手に持っていた自分のスマホの画面を見せた。そこに映っていたのはあの、泣く程に焦がれた「snm」のアカウント。
「分かったかァ。snmは俺。俺に会いたいって言ったよなァ。しかも、こんなエロいかっこ、知らねぇ奴らに晒してよ。何でもするとか。なあ、本当に何でもしてくれんの？約束守ってやったろォ、なぁ…本当に俺の為に何でもしてくれんの？」
不死川の頬は紅潮していて、興奮しているのか息も荒い。先程よりも距離が近く、スマホを持っていない方の手が義勇の肩を掴んだ。指が肌に食込む。
それでも不死川の歪に笑った顔は、🌊には天使の微笑みの様に思え、鍵付きの投稿をどうやって解除したのかは特に気にならなかった。
「俺の♥とコメだけで十分だろ、ぎーゆ？」