再婚して出来た兄弟でも兄弟やろがいこれはパラレルワールドの話。
片親で育った冨岡姉弟。姉は歳が離れてて、弟が16になる頃には結婚間近の恋人がいた。
やがて姉が結婚し家を出たタイミングで、まさかの親が再婚することに。
義勇には一度は夢に見た下の兄弟達が出来た。相手の長男は一見すると人相が悪く見えるが、目は丸く大きく隠しきれない優しさが滲み出ていて下の子達の面倒を見るのも嫌な顔一つせず、初めて会う義勇にも懐っこい笑顔で挨拶をして来た。
名を玄弥と言って、照れた表情で「兄貴って呼んで良いですか」と聞かれ、あまりの可愛さに義勇は首を千切れんばかりの勢いで縦に振った。これが姉さんの気持ちだろうか。
そして玄弥達と過ごす賑やかで楽しい日々。
家事炊事得意な玄弥に教わりながら義勇は料理はパズルみたいなものだと悟りを開き、超絶強力カビハイターを買うことが自分への贅沢、ご褒美になった。
最初は余所余所しかった兄弟関係も、今は平気で喧嘩もするし妹達と遊びに行くことも当然になって、とうとう一番下の子が16になった。
玄弥は晴れて警察官になり、実家近くの交番に着任が決まった。ちなみに義勇は地元で公務員をしていたので両親と実家住みである。ボーナスの時期になると妹達はとても甘えん坊になるのだった。
そんなある時、交番仲間で飲み会があった玄弥が随分遅くに帰ってきた。真面目なあの子が珍しいと義勇は玄関に向かう。
玄弥の横には見知らぬ男が立っていた。どこか玄弥と似ているが、髪は到底地毛とは思えない銀色をしていて、ツリ目ではあるが優しい丸みのある目をした玄弥とは違い、男の目つきはあまりにも凶悪だった。
「こちらは俺の先輩で不死川さん。俺と同時期にここへ異動になったんだ。終電逃したから今晩泊まってもらうことにしたよ」
あの時の先輩がぎゆ兄を見た時の、雷に打たれたような衝撃ってやつ?
あれが一目で恋に落ちたって顔なんだろうなあ。
これが俺の兄貴達の馴れ初めってやつだよ。
と、玄弥は可愛い娘にお願いされる度に同じ話を聞かせてあげるのだった。