志季のことが好きだ。どうしようもなく。
里津花のことも好きだ。どうしようもなく。
好きな人が同時に何人もできるって、最初は信じたくなかった。でも、これが事実だ。
それに、二人に対して半端な気持ちを向けているわけじゃないのは、俺が一番良く知っている。
だからこそ、苦しい。
俺の恋愛のポリシーは、相手の心の中のものは全て奪い取って、俺が与えたもので埋め尽くすこと。
志季からは音楽を。
里津花からは志季への気持ちを。
俺のために、捨てさせないと。
──そんなこと、できるわけないじゃん。
リッズのみんなを悲しませる以前に、俺が俺の人生を素直に誇れなくなる。そんなのは嫌だ。
だから、俺の志季への恋心は、里津花と俺だけの秘密。
俺の里津花への恋心は、俺だけの秘密。
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