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    Fuca2Fuca2

    @Fuca2Fuca2

    筆が速いのが取り柄です、Twitterで書いたものをここに入れます。
    責任ある大人しか見ちゃダメなものもぶち込みます。(ちゃんとR表示します)
    書いてる人は、品性下劣かつ下品で助兵衛です。
    だから、そんな作品しかありません。
    ※シモの話は♡喘ぎデフォです。
    最近拠点を支部に移したので、ここは跡地のようなものです。

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    Fuca2Fuca2

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    パネルトラップのお題、「夢女に買い物で振り回される男」です。女の子のわがままに振り回される男が好きです。

    ①夢女に○○されてしまう男(お買い物編) (ニェン)「っ、オイいい加減にしろッ」

    ホールに響いた怒号に、賑やかな雑踏の空気が一瞬で張り詰める。露骨にイライラした男の大声に、反射的に走り去る人、思わず立ち止まって周囲を見渡す人、幼い我が子の手を引いて足早に立ち去る人、反応は様々だった。

    日曜日のショッピングモール、多くの人で溢れ返ったその場所に、ぽっかりと空間が生まれる。静寂の中心、大声を発した当人であるその男は、ピンク色のボブカットにニットの猫耳帽子を被った中々に可愛らしい出で立ちの男性だった。しかし、ファンシーで可愛らしい服装とは裏腹に、彼が纏っているのは濃厚なタバコの煙の臭い。くっきり刻まれた眉間のシワと、無精ヒゲの目立つ口元から、彼がいかに苛ついているのか周囲の人間には手に取るように分かる。そしてその原因が、彼からほんの数フィート先に佇んでいる女性に向けられているということも。

    「……まだ終わんねェのかよ、」
    ぞろりと地を這う男の声に怯むこと無く、視線の先の彼女はショーウィンドウを見つめている。歯軋りする男には見向きもせず、彼女はたっぷりと時間を取ってひとり頷いた。
    「うん、まだ」
    「Tsk」
    「ニェンったら、そんなにイライラしないでちょうだい。タバコなら、ホラ。向こうに喫煙所があったわよ?」
    「テメェ……」
    「ふふ、ごめんね。冗談よ」
    逞しい両腕にぶら下げた無数の紙バッグから、既に男が彼女の買い物に何時間も付き合っていることは見て取れる。まるで獣のように長く伸びた爪が、怒りのあまりピクピクと痙攣を始めているというのに、女の方は余裕たっぷりに男に向かって微笑んでみせた。
    「だって、貴方は私を置いていけないもの。そんなことしたら、ルーサーに叱られちゃうもんね?アイボリー家の忠実なジャックさん?」
    いけしゃあしゃあと並べ立てられたセリフに、ニェンと呼ばれた男の眉尻がピクリと持ち上がる。青筋を立てながら舌なめずりすると、男は唸り声を上げながら彼女ににじり寄った。
    「……だったらもっと、態度ってモンがあるだろうよ。……なァ、可愛いかわいいお嬢さん?」
    怒気を含んだ声色と、血走った四白眼。彼らの事情も関係性も知らない赤の他人が見たら、裸足で逃げ出してしまうような光景。
    「ねぇ、見て。あのケーキ、美味しそうじゃない?」
    それでも彼女はのほほんと、ショーケースの中を指差して笑っていた。一種の緊張感を持ってふたりを見守る観客が、ごくりと生唾を飲み込む。猫耳帽の男はその目をすうっと細め、じっくり女の顔からガラスに飾られたケーキに視線を移した。
    「ほら、あのピンク色のクリームとイチゴが乗ったやつ。ああいう、お店でしか食べられない味って、素敵じゃない?」
    「……」
    「それにほらクッキーも、すごく美味しそうよ。折角だし、買っていかない?」
    「その“折角だし”で、あと何件回るつもりなンだよ」
    「さあ?」
    「……お前、どれだけ俺を苛つかせたら気が済むンだ、あぁ?」
    危うげな雲行きを意に介することなく、彼女はまるで幼子がわがままを言ったような調子で、やれやれと肩を竦めてみせた。その仕草に、猫耳帽の男は盛大な舌打ちを落とす。
    「ああもう、イライラしないでってば」
    「ッ、一体誰のせいだと……」
    噛み付く勢いの男に、女はそっと一歩近寄る。筋骨隆々な男が本気を出せばぽっきり折れてしまいそうな腕を、無防備に彼の背中に回した。
    「ほら、落ち着いて?よしよし、よしよし……」
    まるで幼子をあやす様な仕草に、周囲の視線が釘付けになる。人前で大声を出すことも厭わない、乱暴が猫耳帽子を被って闊歩しているような男が、あんなどこにでもいるお嬢さんに、子どもか飼い猫のように扱われて怒らないはずが無い、と。
    「こんな風にお買い物出来るなんて、夢みたいなの。貴方のおかげだわ、ニェン。貴方が居てくれるから、私の面倒を見てくれるから、今日は買い物が出来てるの」
    そう言って女は、彼の分厚い胸板に頬を摺り寄せる。甘くうっとり囁くような声色に、男の肩がピクリと揺れた。
    「ルーサーに信頼されてる貴方と一緒だから、私はこうして自由にお買い物が出来るの。ニェン、ありがとう。頼りにしてるわ」
    彼女は甘えるように呟いて、男の口元に指を差し出す。無精ヒゲの生えた顎下に指を伸ばすと、本物の猫を甘やかすようにカリカリ引っ掻いた。
    「だから、ね。お願いよニェン、どうか怒らないで?」
    「……」
    数秒の沈黙、男は黙って目を閉じると深々息を吐き出した。
    「……結局、どうすンだよ」
    「うん?」
    「ケーキ、買うならさっさとしろ」
    男の静かな声に、女は花が咲いたように微笑んだ。
    「ふふっ、ありがとう。優しいニーニー♡」
    彼女はいたずらっぽく男の鼻先をツンとつつくと、軽やかにケーキ屋のドアを潜った。その後ろ姿を見守りながら、男はポケットからくしゃくしゃになったタバコの箱を取り出す。慣れた仕草で一本取り出し流れるようにそれを咥えようとした瞬間、男はギロリと周囲を見渡した。
    「見てンじゃねェよ」
    ゾッとするほど低い声色に、周囲の人間は一斉に目を伏せる。蜘蛛の子を散らしたように消える人混みを眺めながら、男は舌打ちを再び落とした。
    「……さっさと帰って来てくれよ、お嬢さん」
    誰に言うでもなく呟くと、男はライターを取り出す。禁煙の張り紙の前で堂々とタバコをふかすと、紫煙を吸い込みながら男は腕を組む。ケーキを選ぶ待ち人のガラス越しの背中に、たっぷりの煙を吹き掛けてニヒルに笑った。
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    Fuca2Fuca2

    DONEパネルトラップもどきのやつです、2つ目。
    嫉妬に狂い、夢女に縋りついて泣いてしまう男。でした。情けなくみっともなく泣く男が好きです。あと、ヤキモチ妬きは全夢女が好きなやつ。(誇大主語)
    ②○○に○○、夢女に○○して○○しまう男(ルーサー)きしり、薄手のブラウスが擦れて音を立てる。背中に回された大きな手と、顔に押し付けられた分厚い胸板。私はただ、モスグリーンのシャツから香る防虫剤の匂いを黙って肺に収めている。

    「……どういうことだ」
    ぽつり、ルーサーが言葉を漏らした。
    数時間ぶりに聞いた彼の声は、随分と暗く沈んでいて。少なくとも今朝の挨拶より深く、冷たいフローリングを這い回るように低く掠れていた。
    ルーサーはそれきり何も言わず、沈黙を貫いたまま私の背中を抱き締め続ける。壁掛け時計が、ポーン、ポーン、と朝の10時を告げた。
    秒針の音を聞くだけの沈黙に飽きて、少しだけ上を向き「何のこと?」とルーサーに尋ねてみる。

    「何の、こと……だって?」
    溢れそうになる何かを必死で堪えながら、ルーサーはぎこちなく私を見下ろした。いつだって無表情な彼から注がれる視線は、えも言えぬ感情に満たされている。そしてその感情は、決して好ましいものではないのだと。黄ばんだ白目に滲む血管が、微かに痙攣を繰り返す瞳孔が、ミシミシと音を立てる口角が、私に教えてくれた。
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