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    Fuca2Fuca2

    @Fuca2Fuca2

    筆が速いのが取り柄です、Twitterで書いたものをここに入れます。
    責任ある大人しか見ちゃダメなものもぶち込みます。(ちゃんとR表示します)
    書いてる人は、品性下劣かつ下品で助兵衛です。
    だから、そんな作品しかありません。
    ※シモの話は♡喘ぎデフォです。
    最近拠点を支部に移したので、ここは跡地のようなものです。

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    Fuca2Fuca2

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    パネルトラップ3つ目のお題は、爽ルサです。「とにかくべったりしてしまう、接触依存な男」でした。鬱陶しくて、情けなくて、ベタベタ陰湿な男が好きです。愛情には湿度があってしかるべき、それが一方通行であれば尚更。

    ③とにかく○○してしまう、○○な男(爽ルサ)「美味しそうだね」

    背後からぬるりと現れた長い腕が、私の手元にするりと伸びる。彼の有り余る身長に見合うその長い指先は、ソファの反対に凭れる私からまだ3口も食べていないストロベリーアイスをあっさりと奪い取ってしまった。

    「ちょっと、ルーサー?」
    刺々しい私の声などまるで気にしていない風に、ルーサーは明るいテラコッタブラウンの髪を軽く掻き上げる。人間の耳を模った悪趣味なカチューシャに横髪を引っ掛けると、彼は勿体ぶった手付きでアイスを頬張った。
    ああもう、嫌な男。他人から奪ったストロベリーアイスは、さぞかし美味しいでしょうね。ぱちぱちと瞬きを繰り返す嫌味なまつ毛に思わずため息をついて、手にしたままのプラスチックスプーンをゴミ箱に放り込んだ。

    「おや、もう食べないのかい?」
    「……誰かさんが、私のアイスを取っていっちゃうから」
    私の嫌味に、彼は悪びれもせず肩を竦めてみせた。
    「そんなに怒らないで、お嬢さん。可愛い顔が台無しじゃないか」
    その可愛い顔とやらをここまでしかめっ面にさせているのは、一体どこの誰なのか、と。問い詰めたい気持ちをぐっと堪えて、細く長く息を吐き出す。
    「もういい、アイスはあげる」
    諦めて立ち上がった瞬間、ぐんっ、と腕を強く後ろに引かれた。勢いのままソファに着地すると、不服そうに口角を下げたルーサーが、私の顔を至近距離で覗き込む。さらりと揺れるボブカットの毛先が私の鼻先を掠める距離で、彼はぶりっ子するみたいにわざとらしく頬を膨らませた。

    「ちょっと、どこへ行く気かな?」
    「……キッチンに」
    「私を置いて?」
    「……」
    「Lady、質問にはちゃんと答えなさい。このルーサー・フォン・アイボリーが、わざわざ君と過ごす時間を作ってあげているというのに。それなのに君は、たったひとりキッチンへ?ああ、私のお嬢さんはなんて薄情者なんだ」
    「……誰かさんが、私のアイスを取っていっちゃうから」
    同じセリフを返すと、彼は「それじゃあ」と言って、私に向かってスプーンを突き出す。
    「ほら、どうぞ?」
    乱暴に掬い取ったピンク色のアイスが、到底ひと口で収まらないボリュームで目の前に翳される。唇にくっ付く勢いのひと匙に思わず固まると、まるで私が悪いのだと言わんばかりに彼は首を捻った。

    「どうしたんだい?早くしないと、溶けちゃうよ?」
    そのきょとんとした顔に沸き上がる苛立ちを飲み込んで、仕方なく口を開く。至極嬉しそうに、彼は私の口にスプーンを捻じ込んだ。
    「美味しいかい?」
    期待の籠った眼差しを鬱陶しく思いながら、無言で頷く。舌に乗った瞬間からどろりと溶け出す液体で窒息しないよう、冷たくて甘ったるいクリームを必死に嚥下した。人工的なイチゴ味でねちゃつく口をさっぱりさせたくて、ティーテーブルに乗せたままの紅茶に手を伸ばす。すると今度は、その指を大きな手で握り込まれてしまった。

    「ルーサー?」
    「どうしたんだい、お嬢さん?」
    私の指をいたずらに揉みながら首を傾げるルーサーに、ふつふつとした鈍い怒りが込み上げる。口の中を舌でぐるりと舐め回し、自分を落ち着かせるつもりで軽く喉を鳴らした。
    「……今度は何?」
    「何って、特に何も?」
    「……」
    「ふふっ、しかめっ面になってるよ♡お嬢さん♡」
    「……一体誰のせいよ」
    「私かい?」
    ああダメ、やっぱりイライラする。返事の代わりに睨み付けると、ルーサーは嬉しそうに肩をくすくす揺らした。眦をゆるりと下げて、彼は心底愛おし気に私を見下ろす。

    「ふふ♡そうだね、お嬢さん。今まさにこの瞬間。君を、こんなに可愛い君を困らせているのは、間違いなくこの私だ」
    歌うように囁いて、ルーサーは私の髪に指を絡める。その上品ぶった手つきが嫌で、思わず首を引っ込めると、彼は薄い眉を吊り上げて、わざとっぽくこちらを睨んだ。
    「お嬢さん、私の手が気に入らないのかい?」
    「……いじわるする手は、嫌い」
    「ああ、もう♡……ふふ、ふふふっ♡」
    ルーサーは突然身をしならせると、握っていたカップアイスをぽいと放り投げる。美しい放物線を描いて、たっぷり残ったイチゴ色のドロドロが、あっけなくリビングの絨毯に吸い込まれていく。ポカンと口を開いたまま、その一部始終を見守った後。込み上げてきたのは、怒りと呆れを通り越した恐怖に近い感情だった。

    「ああもう、本当に可愛い♡君はなんて可愛らしいんだ♡」
    意識が半分も残っていない脳みそで、ルーサーの言葉をぼんやり聞き流す。首に絡み付いた長い腕と、ぎゅうぎゅう押し付けられるデイジーがプリントされた派手なピンクシャツは、私の気持ちなんかお構いなしで勝手にお喋りを続けていた。

    「可愛いかわいいお嬢さん♡私だけのお嬢さん♡ふふっ♡……でも、私を嫌いになるなんて許さないよ」
    そう言うとルーサーは、突然私の頬を両手で挟んだ。そのまま強制的に彼と視線を合わせる体勢になると、4つの目が緩やかに弧を描く。
    「ほら、ちゃんと言いなさい。私はルーサーが大好きです、一瞬だって離れません、って」
    ああ、本当に嫌な男。これで私がひと言「大嫌い」と嘯けば、彼はリビングを滅茶苦茶にする勢いで泣き喚き、みっともなく私の足に縋りつくのだから、本当にたちが悪い。そうなったら困るのは私の方で、折れてやるのもいつも私。
    「ねぇ、お嬢さん?ほら、早く聞かせておくれ」
    「……」
    「お願いだよ、あまり焦らさないでおくれ」
    たっぷりの空気を吸い込んで、吐き出す。期待と焦りが滲むその目に向かって、私は口角の引き攣った笑みを向けた。
    「愛してるわ、ルーサー」
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    Fuca2Fuca2

    DONEパネルトラップもどきのやつです、2つ目。
    嫉妬に狂い、夢女に縋りついて泣いてしまう男。でした。情けなくみっともなく泣く男が好きです。あと、ヤキモチ妬きは全夢女が好きなやつ。(誇大主語)
    ②○○に○○、夢女に○○して○○しまう男(ルーサー)きしり、薄手のブラウスが擦れて音を立てる。背中に回された大きな手と、顔に押し付けられた分厚い胸板。私はただ、モスグリーンのシャツから香る防虫剤の匂いを黙って肺に収めている。

    「……どういうことだ」
    ぽつり、ルーサーが言葉を漏らした。
    数時間ぶりに聞いた彼の声は、随分と暗く沈んでいて。少なくとも今朝の挨拶より深く、冷たいフローリングを這い回るように低く掠れていた。
    ルーサーはそれきり何も言わず、沈黙を貫いたまま私の背中を抱き締め続ける。壁掛け時計が、ポーン、ポーン、と朝の10時を告げた。
    秒針の音を聞くだけの沈黙に飽きて、少しだけ上を向き「何のこと?」とルーサーに尋ねてみる。

    「何の、こと……だって?」
    溢れそうになる何かを必死で堪えながら、ルーサーはぎこちなく私を見下ろした。いつだって無表情な彼から注がれる視線は、えも言えぬ感情に満たされている。そしてその感情は、決して好ましいものではないのだと。黄ばんだ白目に滲む血管が、微かに痙攣を繰り返す瞳孔が、ミシミシと音を立てる口角が、私に教えてくれた。
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