フジメロ小話まとめ・かりそめのパ・ド・ドゥ
「あら、フレーダーセンさん。ごきげんよう」
すまし顔の同級生に声を掛けられ、小柄な少女が立ち止まる。
彼女達よりも頭ひとつ分低いところにあるアイスグリーンの髪が、サラリと少女の背中で揺れた。
癖のついたロングヘアを恥じらうように軽く手で抑え、少女は微笑む。
「あら、ごきげんよう。皆様方」
陶器でできたように滑らかな頬に、ほんの少しだけ朱色を乗せて微笑むメロ・フレーダーセンは、文句の付けようが無い美少女だ。
その背後には従順なアーティロイドのフジが、彼女の通学鞄を抱え静かに俯いている。
彼もまた美青年然とした美しい鼻筋に、高級光ファイバー製の前髪の影を落とし、主人であるメロの指示を待って佇んでいる。
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