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    Fuca2Fuca2

    @Fuca2Fuca2

    筆が速いのが取り柄です、Twitterで書いたものをここに入れます。
    責任ある大人しか見ちゃダメなものもぶち込みます。(ちゃんとR表示します)
    書いてる人は、品性下劣かつ下品で助兵衛です。
    だから、そんな作品しかありません。
    ※シモの話は♡喘ぎデフォです。
    最近拠点を支部に移したので、ここは跡地のようなものです。

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    Fuca2Fuca2

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    ドゥとYou

    仕事でくたびれたYouが、ドゥに甘える話。
    ふたりでアップルパイを作りましょう。

    アップルパイ「アップルパイ、作ろ。」

    仕事から帰ってきたなり、やけにぐったりとした様子のYouが呟いた。
    「……アップルパイ?」
    いつものように帰宅したYouに抱き着いて、彼女を労っていたドゥが不思議そうに首を傾げる。
    「…とりあえず、カバン、降ろさせて…。」
    そう言うと、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。
    「えっ…、わぁ…You、大丈夫かい」
    ドゥが慌てて彼女の身体を抱き寄せると、その拍子に、肩に掛けていた通勤カバンから林檎がひとつ転がり落ちる。
    「……林檎?」
    「んー…。」

    Youはドゥの胸に顔を寄せ、むずがるようにぐりぐりと顔を擦り付ける。
    「あー…、重かった。」
    彼女は唸りながらカバンを降ろすと、乱暴に足で押しやった。
    蹴飛ばされた衝撃で、ゴロゴロと林檎が玄関に散らばる。
    「…わぁ、……沢山だねぇ?」
    ドゥは素直に感心して、そこらに転がる林檎達を目で追った。
    「んー…。」
    「……、どうしたのこんなに。」

    ドゥの何気ない一言に、Youは眉を怒らせて顔を上げた。
    「ちょっと聞いてよ。」
    彼の額に自分の額を押し付け、彼の襟元をぐっと手繰り寄せる。
    彼女の仕草に内心ドキドキしながら、ドゥは平静を装って笑みを浮かべた。
    「え、あっ…。うん、勿論…?」
    「……うちの店長、Costcoマニアなんだけどね。」

    "ほら、みんなお疲れ様安かったから買ってきた、差し入れだ"
    "HAHAHA遠慮なんかするなよ、ひとり1箱はあるぜ"
    "ん〜?割と傷んでるのもあるなぁ、急いで食えよ〜"
    "ぅ〜っペッ、ペッ…なんだこの林檎は〜"
    "…あ、料理用?……どうりでこんなに酸っぱいわけだなぁ…。"

    「…という訳で、生で食べるには酸っぱ過ぎる、賞味期限もギリギリの林檎をひとり10個も持って帰って来たの。」
    「……そっかぁ。」
    「もー、あのバカ店長。…バス通勤の人間に林檎10個持たせるとか馬鹿じゃないの、本当に……。」
    ぶつぶつと恨み言が止まらないYouは、ドゥの分厚い胸板に凭れ掛かりながら、その首筋に顔を埋める。
    「ッ………You、く、くすぐったいよ…?」
    「んー…。」
    癒しを求めて甘える彼女を無下にも出来ず、かといってムラムラと湧き上がる欲望を抑え込む事も難しく。
    Youの背中に回した腕をどうすればいいのか、ドゥはひとり慌てていた。

    「…今日はもう寝る。」
    言うが早いか、彼女はさっさと立ち上がる。
    「えっ…、あ、…あぁ、うん。」
    「もう疲れた。…眠い、肩痛い、腰痛い。」
    床に散らばる林檎もそのままに、その上にジャケットや靴下をお構い無しに脱ぎ散らしながら、Youはベッドルームに歩き出した。

    突然、Youが立ち止まる。
    その背中を呆然と眺めていたドゥをちらりと振り返り、
    「……一緒に、寝てくれないの?」
    と寂しそうに呟いた。
    普段の彼女から想像もつかない甘えた声に、彼の心臓が真正面からぶち抜かれる。
    「あっ、あっ…寝る…すぐ行くからっ」
    慌てて立ち上がるドゥに、まだ満足出来ないYouは首を大きく横に振った。
    「……疲れた、もう動けない。………抱っこ。」
    「」
    流れていないはずの血液が、一瞬にして沸騰する錯覚。
    顔を真っ赤にして、急いで彼女に駆け寄る。
    「あっ♡…もっ、勿論…抱っこするね、いいかい?♡♡」
    「ん。」
    Youをそっと抱き締め、大切に横抱きにする。
    「偉いね、You♡今日もお仕事頑張ったんだね?♡♡」
    「……今日は特に。」
    「もちろん…いつも偉いけど、今日は特に頑張ったんだね♡♡」
    「んー…。」
    「偉い、偉いね♡♡」
    彼女のぶすくれた顔に何度もキスを贈りながら、ベッドルームにゆっくりと向かった。
    「他に何か、僕にして欲しい事はあるかい?♡♡」
    Youをベッドに優しくおろすと、ドゥはその場に跪いて彼女の顔を覗き込む。
    すっかりお世話係モードのスイッチが入った彼は、ニコニコと上機嫌でYouのオーダーを待った。

    「…服脱がせて。」
    「よろこんで」
    鼻歌交じりの上機嫌でワイシャツのボタンを外し、ブラのホックを優しく外す。
    「Youは今日も可愛いね♡不機嫌な君もとっても可愛い♡」
    優しく声を掛けながら、丁寧に服を脱がせていく。
    「でも、君にはやっぱり笑顔が似合うよ♡…あぁ、ハニー?どうしたら君は、ご機嫌になってくれるのかな?」
    デニムを器用に抜き取りながら、彼女の脛にキスを落とした。
    「教えて?…僕のお姫様♡♡」
    「……明日、一緒にスーパーに行く。」
    「うんうん♡♡」
    「その後、一緒にアップルパイを作って、一緒に食べる。」
    「うんうん、素敵なアイデアだね♡♡」
    「…あと、ちょっと良い紅茶も買う。」
    「最高だね今から楽しみだよ♡♡」
    両手を胸の前で組んで、大袈裟に感嘆のため息を零すドゥに、Youの表情が少し和らいだ。
    「……ありがとう、ドゥ。」
    「こちらこそ、ありがとう♡さて、明日に備えて今日はもう寝よう?」
    「一緒に?」
    「もちろんさ…さぁ、ハニー。…もっと僕の傍に来て、君の身体をちゃんと抱き締めさせてね。」
    「ん。」
    両腕を広げたドゥの胸元に身体を滑り込ませると、Youはいつもよりもかなり早く寝息を立て始めた。
    「…すごく疲れてたんだね、You…。本当に、お疲れ様。」
    彼女の髪を優しく手櫛で梳ると、彼は静かに囁いた。
    腕替わりの髪の毛を伸ばし、リビングとベッドサイドの照明を落とすと、そっとYouのつむじに口付ける。
    「おやすみハニー、…また明日ね。」





    「やるわよ。」
    翌朝、すっかりいつも通りに戻ったYouは、スーパーの戦利品と林檎の山を目の前にキッチンで腕まくりをした。
    「僕も手伝うね、何をしようか?」
    いそいそと彼女のエプロンのリボンを締め、ドゥは彼女の指示を待つ。
    「まず、林檎。…全部洗って、全部皮を剥いて。」
    「わかったよ」
    ゴム手袋を装着する彼の横で、Youはスマホを操作する。
    "パイシートで簡単アップルパイ"のレシピに目を滑らせ、オーブンを温めた。
    「…良し。…余熱が終わる前に、フィリングを作りましょう。」
    そう言って、ドゥが洗い終わった林檎を受け取り、片っ端から芯抜き器でくり抜いていく。

    この日の為に買った林檎の専用芯抜き器は、普段のYouなら絶対に買わない類の商品だったが、今日は違った。
    ストレスの発散という名目で、FORTNUM & MASON の茶葉を買ったし、ÉCHIRÉのバターも買った。
    これらは全て、Youの"ちょっとした自分へのご褒美"なのだ。
    穴の空いた林檎達をまな板に並べながら、レシピを確認する。
    「バター、シナモン、ナツメグ、砂糖…。」
    声に出してフィリングの材料を大鍋に投入し、隣のドゥの様子を確認する。

    Youも最近知った事だが、彼は存外包丁の扱いが上手かった。
    フルーツナイフを左手に、右手で器用に林檎を回す。
    するすると脱げる様に皮が落ち、丸裸の林檎をまな板に乗せる。
    鼻歌交じりに林檎を剥く、彼の手つきに暫し見蕩れていると、ドゥが笑って彼女の顔を覗き込んだ。
    「どうかしたの、ダーリン?」
    「……妙に器用よね、あなた。」
    「へへ…、本当に?…嬉しいなぁ〜。」
    ルンルンと腰まで振り始めた彼に、Youも笑いながら林檎をざくざくと角切りにする。
    小ぶりな林檎とはいえ、10個もある。

    機械的な作業を繰り返す中で、Youがボソリと呟いた。
    「……昨日、ごめんね。」
    「ん〜?何の話?」
    とぼけている訳ではないドゥが、真剣に首を傾げる。
    「…八つ当たり、したから。」
    包丁を扱う手元を注視したまま、彼女が呟いた。
    「八つ当たり?昨日?君が?」
    いよいよ本気で分からないといった調子で、彼は最後の皮剥きを終える。
    どっさりと抱えた林檎の皮をゴミ箱に放り込むと、Youの顔を覗き込んだ。
    「…服脱がせて、とか、歩けない、とか…。」
    ぽつり、ぽつり、と口を開く彼女の頬がじわりと赤らみ、林檎を切る手が止まる。
    「あ〜…へへ、そんな事かぁ。」
    ドゥはYouの手が包丁を抜き取ると、そっとまな板に乗せた。

    「全然、あんなの八つ当たりなんかじゃないよ、ダーリン?」
    「…。」
    黙りこくる彼女を後ろから抱き締め、つむじに何度もキスを落とした。
    「とっても可愛いワガママだったよ?…僕を頼ってくれて、ありがとう♡」
    「……本気?」
    「もちろん…君に関して、僕はいつだって本気さ?」
    頬擦りするドゥの温もりに、Youの目頭がじわりと熱くなる。
    「君はもっと、僕に頼って、うんと甘えてくれていいんだからね?」
    「…。」
    「なんてったって、…君は僕の大事な恋人なんだから」
    「…。」
    「そうでしょ、ダーリン?」
    Youが口を開こうとしたところで、タイミング良くオーブンの余熱が終わる。
    気の抜けた通知音に、ふたりして肩をビクつかせた。

    「…ふふ、」
    「…へへ」

    お互い顔を見合わせて、クスクスと笑い出す。
    「ほら、急ぎましょう。オーブンが冷えちゃう。」
    薄く涙が滲んだ目尻を擦り、Youは包丁を手にした。
    「そうだね…僕は、次に何をしようか?」
    「ええと、パーチメントペーパーの上にパイシートを乗せて、フォークで穴を開けて。」
    ドゥに指示を出すと、彼女は急いで林檎を切りながら、コンロに火を付けた。
    「林檎は半煮えで大丈夫、…スパイスと砂糖を混ぜるのがメインだから…。」
    残りの角切りを全て大鍋に流し込み、木べらで掻き混ぜる。
    「You、出来たよ」
    いっそ気味悪いほど等間隔に穴が空いたパイ生地を、ドゥが得意げに見せびらかす。
    「Nice、…残ったもう一枚は細切りにしておいて。」
    「わかったよ」
    溶けたバターと砂糖で、照りがついた林檎を「よし、」と確認して火を止める。
    広げられたパイシートの四隅を摘んで土手を作り、大量のフィリングを乗せた。
    ドゥが細切りにした生地を受け取り、丁寧に格子模様に並べていく。

    パイ生地に対して随分と中央がこんもりしているが、上手いことアップルパイの形になってきた。
    「最後、溶き卵を塗ったら完成ね。」
    早速ボウルを用意したドゥに「ありがと、」と述べて、玉子をひとつ割り入れる。
    黄身を丁寧に潰してから、アップルパイ全体に塗りたくった。
    「さて、後は30分待つだけ…お疲れ様、ドゥ。」
    「へへ、お疲れ様。」
    ケトルに水を入れて、コンロに火を付ける。
    「今のうちに、紅茶を用意しましょ?」
    ドゥはYouの背中に近付くと、奮発して買った高級紅茶のパッケージを、Youの指先からするりと抜き取った。
    「僕がやる」
    ドゥはそう言って、彼女のエプロンのリボンを外す。
    「あ…、そう?」
    「うん…Youはゆっくり休んでて、…まだ疲れてるでしょ?」
    Youの後れ毛を耳にかけながら、彼女の頬を指の背でなぞった。
    「…気を使わせちゃった?」
    「ううん…僕が、そうしたいの。」
    ね?と可愛らしく首を傾げ、ドゥはYouの頬にキスを贈る。
    「……ん、じゃあそうする。」
    彼女はそう言って、ドゥの背中にピッタリとくっついた。
    「へぁ………You、ど、どうしたの?」
    「…だって、ドゥに頼って、うんと甘えていいって言った。」
    「た、…確かに言ったけど。」
    「…今日はずっと、私の傍にいてくれなきゃヤダ。」
    「」
    「アップルパイも切り分けて、紅茶も淹れて、私の好きな映画をふたりで見るの。……分かった?」
    「も、勿論だよ」
    「後、お風呂も一緒に入るの。」
    「そっ……それは…。」
    動揺するドゥの腰に回した腕に、ぎゅう、とありったけ力を込める。
    「うっ……、うう…。」
    「分かった?」
    「……。」
    「…ダメ?」
    「〜ッ……だ、ダメじゃ、ない、…よ?」
    「ん」

    満足したYouは、笑いながらドゥの背中に額を擦り付け、彼を解放した。
    「ソファで待ってる。…早く来てね、ダーリン?」
    「あっ………分かったよ、ハニー…。」

    くすくす笑ってリビングに戻る彼女の背中に、ドゥは小さく肩を竦めた。
    「もう……、本当に敵わないなぁ…♡」
    困った様に、…それでも嬉しそうに呟くと、彼は紅茶のパッケージからティーバッグをふたつ取り出す。
    ほのかに香る茶葉と、オーブンから漂う香ばしい香り。
    「……Picture me upon your knee♪」
    Tea for Twoを口ずさみながら、彼は最愛の恋人とのティータイムの支度に取り掛かった。

    一方でYouも、ソファにゆったりと背中を預けながら、ドゥの歌声に耳を傾ける。
    「Just me for you, and you for me alone…、ふふっ。」
    歌詞の続きをひとり呟き、リモコンを手にした。
    そうだ、…特別にロマンチックな映画が良い。
    YouはNetflixから、ふたりのお気に入りである"美女と野獣"を選び、再生ボタンを押した。
    ドゥの歌声のアップルパイの香りを楽しみながら、Youはうっとりと目を細め、画面を見つめる。
    うとうと目蓋を揺らしながら、次に目を開いた時に広がる光景を想像し、彼女は暫し微睡みに浸った。

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