【勇作さんと8番出口】気が付けば勇作は不思議な閉鎖空間に迷い込み、グルグルと同じ通路を歩き続けていた。
辺りを見回すと眩しく輝く白いタイルの壁に【ご案内】の文字が目に映った。
異変を見逃さないこと
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
8番出口から外に出ること
どうやら自分は異変とらに巻き込まれているらしい。
注意深く観察しながら歩みを進めて気づいた事は、異変と言っても奇怪な生き物が現れたり、即座に生命を脅かされるといった類ではないようで、ただ見落としてしまいそうなほど細かい異変だった。
警告ポスターが所狭しと乱雑に貼られている異変……広告ポスターが巨大化する異変……床の点字ブロックの異変……など、1つ見つけては引き返して異変を感じなければ先に進み、幾度と疑心暗鬼になりながら7番出口まで辿り着いた。
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