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    mamekandume

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    とり+陽+ヒュが駄菓子を食べる話

    はくしゅ 音もなくスプーンの上に重なっていくそれは透き通った紫色をしていた。砂粒より大きくて小石よりは小さい。それでいて角が鋭い。まるで紫水晶を砕いたみたいだった。
    「なんだ、それは」
     ヒュースはスプーンを持つ烏丸に聞く。
    「これは食べると天使の祝福が聞こえる飴だ」
     天使という言葉の意味がわからないし、祝福が聞こえるというのもよくわからない。理解できたのは、この紫水晶に似たものが飴であるということだけだった。
     ヒュースはその飴をじっと見る。ちょうど窓から光が射し込んで、紫色がきらめいた。こんなに美しい食べ物があるのかと感心してしまう。
    「食べるか?」
     烏丸にそう聞かれたのでヒュースは頷いて口を開けた。口内にスプーンが侵入してくる。冷たい金属が舌に触れ、たちまちぬるくなった。さらりと舌の上に降ってくる細かな飴はすぐに溶けるのだろうか。
     しかしそんなヒュースの予想は裏切られた。
     唐突に口の中に痛みが走った。
     ぱちぱちと音を鳴らしながら、飴が弾け飛んで上あごや頬の内側に当たる。そして当たった場所でまた弾ける。微細な痛みが口腔内の至るところで広がって、小規模な爆発をしているようだった。
    「な……んだ! これは」
     飴のかけらが喉に張りついて咽せてしまう。まぶたの隙間から生理的な涙が溢れた。喉がちりちりとして、いつまでも違和感がある。烏丸が背中をさすってきたのでヒュースはそれを振り払う。自分がこんな目に遭っているのは紛れもなくこの男のせいなのだ。
    「口を閉じたほうが痛くない」
     無表情のまま烏丸が言った。どうせ嘘だろうと思ってヒュースは口を開けたままでいた。だって口を閉じてしまえば舌と上あごが密着してどちらも痛くなってしまう。
     息を吸うたび舌の上がひりひりする。しばらくすると大暴れしていた飴はすっかり溶けて、甘い後味だけを残した。
    「トリマル! どういうつもりだ。これは毒じゃないのか?」
    「毒じゃない。うちの弟がくれた、れっきとした駄菓子だ」
     平然とした顔でそう言う烏丸をヒュースは睨み付けた。弟からもらったなんて嘘に決まっている。こんなに危険なものを兄弟にあげるわけがない。嘘つきめ、という気持ちを込めて烏丸を睨み続けた。
    「お、これはパチパチパッチンストロング。おれのすきなおやつだ」
     ひりついた空気を切り裂くように陽太郎と雷神丸がやってきた。陽太郎はいつの間にか、まだ封が開いていない飴の袋を持っている。
    「おい、危ないから触るな」
     ヒュースの言葉に陽太郎は首を傾げる。
    「これはちょっとしげきてきでおいしい、くせになるあめだぞ」
     陽太郎は封を切って飴をざらざらと口の中に流し込んだ。その行動にヒュースは目を見開く。こんなものを幼児が食べていいわけがない。
    「吐け!」
     ヒュースは慌てて陽太郎の口を開けさせようとした。しかし陽太郎は絶対に開けるものかと言わんばかりにしっかりと口を閉じている。無理やりこじ開けることもできるが、怪我をさせてしまう可能性もある。
    「トリマル、なんとかしろ!」
     そう怒鳴っても烏丸は体を震わせるばかりで何もしてくれない。ヒュースが途方に暮れていると陽太郎自らが口を開けた。
     ぱちぱちしゅわしゅわと音が聞こえてくる。
    「はくしゅのおとみたいだろ」
     言われてみればそうかもしれない。陽太郎の口の中から聞こえる音は、自分の口の中で聞こえた音よりもずっと軽快で小気味がいい。
    「ヒュース、B級しょうかくおめでとう。これはおれからのはくしゅだ」
    「痛くないのか」
    「ぜんぜん。あまくておいしいぞ」
     陽太郎がにこっと笑うとさらに拍手の音が大きくなった気がした。
     天使のことはよくわからないが、確かにこれは祝福の音なのかもしれないとヒュースは思った。
     
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    izayoi601

    DONE思いついたので一人飯するじょしょどのの話。台詞などでも西涼二直の中ではじょしょどのが一番食事好きな方かなと妄想…脳内で色々分析しながら食べてたら良いです…後半は若も。庶岱と超法前提ですがもし宜しければ。ちなみに去年の流星での超法ネップリと同じ店です。
    早朝、一人飯「これは、まずいな……」
     冷蔵庫の中身が、何も無いとは。すでに正月は過ぎたと言うのに、買い出しもしなかった自らが悪いのも解っている。空のビール缶を転がし、どうも働かない頭を抱えつつダウンを着るしかない。朝焼けの陽が差し込む中、木枯らしが吹き付け腕を押さえた。酒だけで腹は膨れないのだから、仕方無い。何か口に入れたい、開いてる店を探そう。
    「……あ」
    良かった、灯りがある。丁度食べたかったところと暖簾を潜れば、二日酔い気味の耳には活気があり過ぎる店員の声で後退りしかけても空腹には代えがたい。味噌か、塩も捨てがたいな。食券機の前で暫く迷いつつ、何とかボタンを押した。この様な時、一人だと少々困る。何時もならと考えてしまう頭を振り、カウンターへと腰掛けた。意外と人が多いな、初めての店だけれど期待出来そうかな。数分後、湯気を掻き分け置かれた丼に視線を奪われた。
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