sink 真っ白なミルクのような翼をはためかせる。
ビルの隙間を飛び、早朝の街中を見回して人々の営みを眺めて微笑んだ。
大きな純白の両翼を風に揺らがせて、その人は教会の屋根にふわりと降り立つ。濃い赤紫の髪が重力に従うようにふわりと浮かび、白い布を巻きつけただけの服が透けるかのように溶けて神父服へと変化した。
屋根にある小さな窓から教会の屋根裏部屋に足から入ると、中にいる白い鳩たちが人の気配にバタバタと騒ぐ。
「はいはい、いま出してあげますから」
昔は伝書鳩として、今は観光のひとつとして行政から飼育を頼まれている鳩たちを解放するために天彦は窓を開け放った。天彦とお揃いの真っ白の翼を目を細めて見送る。
「神父様ぁ、神父様ぁ」
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