他者と。夕暮れ時、空を灰色の雲が次第に覆う
昼間の熱を冷ます雨が、静かに落ちる
そして、急速に雨脚を速め
大粒の雫が地面に打ち付ける音が、窓ガラスの奥にまで響いた
「あ、雨!?」
紫の少女は驚いて窓に飛びつく
「イアちゃん夕立知らないの?」
帰りの支度をしていたYOUが、彼女に語り掛けた
「日本の気候は知っています。でも、こんなに急に降り出すなんて...」
不安げな表情で外を見つめる少女に、温和な彼は微笑みを浮かべる
「傘持ってるから、校門まで一緒に行こうか?」
「え、えっと...」
優しい誘いに、少女は戸惑いを見せた
それに気づいたのか、彼は慌てて言葉を紡ぐ
「そ、そうだよね!僕とじゃあ嫌だよね...」
「違うんです...!私、行きたいところがあって...」
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