猫の日の天使と悪魔アジラフェルは動物に好かれない。クロウリーにはよく懐いている野良猫は今日もアジラフェルにはそっぽを向いて、なんなら威嚇までしてみせる。今日は猫の日だというのに。相変わらずアジラフェルにそっけない白猫を見送って、ふたりコテージの庭を見渡せるベンチに座った昼下がりだった。
「あんまりじゃないか」
「いきなりなんだよ」
「きみはあの子を撫でられていいね」
「なんだよ、嫉妬か?」
悪魔はさも愉快そうに鼻を鳴らした。嫉妬だとも。あの毛艶の良い猫を一度でいいから撫でてみたい。真っ白な猫はどちらかといえばアジラフェルの側だ。だというのにクロウリーにしか懐かない。
「きみは子どもにも好かれる」
はあ、とわざとらしくため息をついて呟いた。近所の子どもたちにもクロウリーの方が人気だ。それから彼らの飼っている犬や猫や鳥たちにも。
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