C-9悲しいのか、悔しいのか。
昂っているからなのか。目が熱くて止まらない。
膝に顔を埋める。堪えたくても、ただ流れるそれは水溜りにでもなりそうなくらいだ。
手の中のくしゃくしゃになった写真を、何度も広げては丸めた。それでも、破ろうとしても出来なかった。思い出が詰まった一枚だからなのか。
写真を見て口元が上がったり、下がったり感情が分からない。ただ、馬鹿と言ってやりたかった。なぜ怒ってるか分かるかと、聞きたかった。なぜ、どうして、と言いたいことが沢山あった。
目は熱くなるばかりで収まらない。
静かな部屋で、微かな『水音』と嗚咽が響いた。
前を見れば、ずっと動かず呼吸器だけが白く濁る。
写真の中の人。笑顔の人。ついこの間も、会ったばかりだったのに。
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