診断 あなたに書いて欲しい物語ぬくもりを半分こした。
手を握った。自分の熱が伝わるように。そしたら、向こうも握り返してきた。熱が伝わった。
あったかいね、って言いながら、寒空の下2人一緒に眠った。握っていた手は、いつしか離れお互いを抱きしめていた。冷たい風も、なんだか暖かく感じた。
物心ついた時から一緒だった。まちの路地で育ちどんな時も2人一緒に生きてきた。これからもそうだと思ってた。でもある時、大人が来た。老夫婦のようでどちらかを養子にしたいらしい。咄嗟に、隣を見た。どうやら老夫婦も自分ではなく隣に見入っていた。なんだか胸騒ぎがするが、幸せになって欲しいと言って送り出した。送り出された事に驚いたのか目を見開いた。何か言いたげな表情だったが見ないふりをした。
老夫婦に連れられ、馬車に乗った。その馬車をずっとずっと見送り続けた。1人になった。
これからきっと幸せな日々を送るのだろうと幸せそうな顔を想像した。願った。願い続けた。
月日は流れた。色々な事をした。犯罪紛いな事もした。そんな中でも忘れた事は一度もない。寝る前には顔を思い出し、握った手のあたたかさを思い出す。
きっと今も幸せに過ごしてるのだろう、そう思っていた。老夫婦に拾われて良かったと思っていた。でも、思えばそれは浅はかな考えだった。