あなたが遺したもの夜の渓谷に足を運んで、祈りの譜歌を聴きながら
あなたとの思い出を少しだけ思い出している。
セレニアの花たちが風と踊る
好きでも嫌いでもない、関心など全くなかった彼は、手を血で染め、死に直面して、人となった。
彼はいつの間にか大切な友人だった。
フォミクリー、レプリカの話を聞く時
私は俯いていた。
自分の犯した罪から逃げぬように
だが彼は言った。よかった…と。
私はその日から俯くのをやめた。
向き合うことを決めたのだ。
決めていたと思っていた事が、出来ていなかった。
それに気付かせてくれたのは彼だった。
そして彼はローレライの解放という偉業を成し遂げ
その世界から消えた。
彼の成人の儀が行われた日、私はまた夜の渓谷を訪れた。
寂しい風が髪を揺らす。
「そろそろ帰りましょう。夜の渓谷は危険です」
義務的に発していた言葉も、今は仲間を思って言える。
変えてくれた彼のおかげ。
「どうして…ここに…?」
皆が待ち望んだ彼は確かに帰ってきた。
ひとつになって。
「(あぁ…そうか…)」
記憶しか残らない
私はその時初めて、人の死を実感したのだ
「(約束しますよ、ルーク)」
きっと必ず、貴方をいう人を、もう一度作り出してみせます
貴方が良かった言ってくれたフォミクリーで。