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    mahiro120330

    @mahiro120330

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    mahiro120330

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    友人にタイトルをつけてもらいました。ほんと天才的なタイトルをくれました。ありがたい。
    以前ワンドロで書いたキスフェイ♀のリメイクです。
    暗めの話ですので、ご注意を。

    燻る想いを攫う残り香時刻は真夜中。ニューミリオンの街も黒い
    ヴェールに覆われて、静寂に包まれている。靄が掛かった月が朧気な光を溢し、青白く世界を浮かび上がらせた。野良猫の鳴き声すらも聞こえない。そんな夜。
    今から数時間前の、昨晩。パトロールが終わると、足早にその場を立ち去ろうとするキースを呼び止めた。分かりやすく嫌そうな顔をした男を、あの手この手で言いくるめて、ボロアパートへと転がり込んだ。そして今に至る。
    お互いの欲をただぶつけ合うだけの乱暴な行為により乱され、ぐちゃぐちゃになったシーツを見つめる。暇を持て余した指を、シーツの皺に這わせた。キースはというと、紫煙をくゆらせながら窓の外を見つめている。煙はゆらゆらと昇って、静かに消えていった。
    「キース」
    「なんだよ」
    頭をボリボリかきながら癖毛の男は大きなあくびをした。静かな空間に、腑抜けた声が落ちる。
    右手には長い灰のついた煙草が握られている。危なっかしい。
    「私のこと、どう思ってるの?」
    そう尋ねながら、キースに灰皿を突き出した。ここはベッドの上だ。万が一、灰を落とされてボヤ騒ぎなんてたまったものではない。
    「…お前、そんなこと気にするやつだったか?」
    キースは一つ、ため息をついた。面倒くさそうに灰を灰皿に落として、目を閉じる。
    「なに、気にしちゃ悪いわけ?」
    「悪いとは言ってないだろ」
    「…で、どうなの?」
    「…」
    キースは煙草を咥えて、煙を吸い込んだ。逃げるように煙を吸っている。顔は明後日の方を向いてしまい、見えない。黒いものが胸に燻った。
    「言ってくれないの」
    「…」
    私たちがこの関係をはじめて、かれこれ数ヶ月。最初は都合の良い関係だな、くらいの認識。それ以上は求めていなかったし、求めてはいけなかった。
    なにもなかったところから湧いた情が、芽吹いて、花を咲かせた。自発的に認識できるようになってしまえば、自覚するのは容易だ。
    これをなんて呼ぶのが正解か分からない。でも、私が持つ感情は『愛』だったり、『恋』と呼ばれるものに近いのだと思う。
    寄ってくる男たちを相手していて、こんな感情を抱いたことは今までになかった。都合が良くて、互いの欲を解消するだけの利害関係が一致している。ただそれだけ。胸に空いた穴を埋める手段を、この関係に求めてはいけなかったのに。
    相手の顔が見えなくて、不安に感じることなんて、はじめてだ。横に腰掛けるキースがこんなにも遠く感じてしまう。
    「キース、こっちむいてよ」
    「…」
    行為のときは獣のような視線を向けてくる癖に、肝心なときは何も語らない。
    「フェイス」
    「うん」
    「分かってるだろ、都合の良い関係ってやつだよ。俺たちは」
    それ以上の事は考えるな、と言い煙草を灰皿に押し付けて立ち上がった。持ち上がった布団の隙間から冷たい風が入り込む。さむい。
    「俺たちは、第十三期、ウエストセクター研修チームのメンターとメンティー。それ以上でもそれ以下でもない。利害関係が一致したから、こうしてるだけだ」
    そう、乱暴に言い捨てた。声色はいつもと変わらないはずなのに、ひどく冷たい。まるで氷だ。
    「…やだ」
    「…」
    「おねがい、キース。好きって言ってよ」
    キースの言うとおり、成り行きではじまったこの関係。行為も最初は乱暴で、お互いの欲を叩きつけるだけのものだった。でも今は違う。少しずつ形を変えてきている。
    触れる手が、声が優しいのだ。恋は盲目という言葉があるように、自分が盲くらなだけかもしれない。でも、もしそうじゃないと否定するならば、私を突き放せばいいのだ。もう来るな、と強い口調で言えばいい。それなのにそうしないと言うことは、少し縋ってみても良いのではないだろうか。ただ利害関係が一致してるだけの行為なら、そんなことは必要ない。
    「私はキースのこと、好きだよ」
    「…」
    「キースは、なにも思ってないの?」
    「俺は…」
    「答えてよ」
    相変わらず背中を向けたままのキースに向かって言葉を放つ。布団で体を隠しながら、上体を起こした。アパートの一室に満たされた冷えた空気が、体から熱を奪っていく。
    「…体だけの関係だと思ってる。今も昔も変わらずな」
    キースの言葉はグサリと刺さった。希望に縋っていられたから、耐えられていたのに。目頭が熱くなる。
    「…アハ、そう言うと思ってたよ。でもさ…ぁ」
    自然と涙が溢れる。止めようと試みるものの、自分の意思ではどうにもならない。溢れた涙は白いシーツに、ねずみ色の染みを作った。
    弱った語尾に気づかれたのか、キースがこちらに視線を向けた。視線が交差する。
    「そんな顔、しないでよ」
    キースは、苦虫を噛み潰したような顔をした。この男が何を考えているのか、私には分からない。
    そんな顔をして、期待させないで。そっけない態度には、何か理由があるのではないかって考えてしまう。
    キースは情に厚い男である。【HELIOS】という組織の中で一番だ。それと同時に、かなりの頑固者でもある。堅物の兄に匹敵するレベルだと思う。
    「…」
    「だめなの?」
    自分でも驚く程、情けなくて縋るような声が出た。あんなにも優しく触れるのに。一番欲しいときに言葉はくれないのか。
    「…煙草買ってくる」
    そう吐き捨てて脱ぎ捨てた服を持ち、部屋から出ていった。ただでさえ静かだった部屋が無音室のようだ。心臓の音がうるさくて、痛くて、苦しい。
    「煙草、まだ残ってるじゃん…」
    サイドテーブルに置かれた煙草を見て、耐えきれず言葉をこぼした。
    ─────寂しいよ、キース。
    そんな声は誰にも届かず、窓の隙間から差し込む月明かりに溶けた。二人で眠るには窮屈だったシングルベッドが、広すぎて落ち着かない。彼が座っていた所は冷えて、もう冷たくなっている。
    冷えた足を擦り合わせて、煙草の残り香を纏う布団を被った。布団も冷え切っている。
    悪い夢だ、全部忘れてしまおう。
    明日には悪い夢が覚めていますように、そう願って目を閉じた。
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    Replies from the creator

    mahiro120330

    DONEマリレンフェ(カプ要素なし)の小話

    マリオンもフェイスの音楽センスだけは認めてくれるんじゃないかなぁ…って。もちろんヒーローとしての成長とかそう言うのも、今後認めてくれたりするとは思うけど。
    マリオンちゃまイケメンだから、サラッと褒めたりとかするんだよね…
    マリレンは特に解像度低くて、呼称だったり口調が異なる場合があります(真顔)。
    それでもいいよ〜許すよ〜って方のみお読みください😇
    クラブハウスの小話「エマージェンシー!エマージェンシー!」
    繋がれたインカムから響く声に、事態の緊急性を悟った。声の主であるジャック02は簡潔に要件を述べる。
    「イエローウエストの裏通りのクラブハウスで、【サブスタンス】が出現しマシタ…被害レベルは…1…パトロール中の『ヒーロー』は直ちに現場へ急行してクダサイ…」
    「レン、聞こえていたな?」
    「ああ」
    「行くぞ」

    ◇◇◇

    まさかボクがウエストをパトロールすることになるとは。他セクターのエリアをパトロールすることは、別に珍しいことではない。引っかかるのは理由だ。
    ウエスト所属のヒーローは非番と特別任務で出払っており、ブラッドからウエストのパトロールを命じられたのだった。休暇と特別任務を被せるのではなく調整できなかったのか。文句を言っても仕方がないのは理解できるが、釈然としない。今回のようなサブスタンスであれば、管轄外のイエローウエストであっても問題は少ないだろう。
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