選曲会議顧問の特権として使っている部屋で自由曲の選曲をしていると音楽室に誰か入ってくる気配がした。自主練で来た部員だろう。年が明けて間もないのに熱心なものだ。
「年始くらい休んでもいいのに……」
恐らく年末のアンサンブルコンテストに出た木管五重奏のメンバーだろう。都大会に駒を進めることができたから個人練をした後に5人でアンサンブルの練習をするに違いない。そして練習は長引く可能性があるから彼らを時間になったらどう追い出すかも考えないといけない。
「……まあ、こっちの方が先か」
オーディオコンポにCDを入れてから孫六は総譜を開いた。すると――。
「失礼しまーす」
ドアが開いた。
「あ。やっぱりいた。今年もよろしくお願いしまーす」
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