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    nana_kk0810

    @nana_kk0810

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    nana_kk0810

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    afterコピ本のためにポチポチしてる。
    しかし、いちゃらぶさせるためだけのはずが、すれ違いのTruthになってきて、おいらが泣いてる😭
    おかしい。

    「ユキさん、起きて。ユキさん。起きないと遅刻しちゃいますよ」

     優しい声が千を微睡みの中から呼び起こす。
     まだはっきりと覚醒はしていないが、うっすらと浮かび上がる人影。
     手を伸ばすと温かな感触が指先に触れる。

    「ほら、ユキさん。起きないと仕事遅刻しちゃいますぞ?」
    「モモ……?」
    「はい?」

     千は百の腕を掴んで布団の中に引きずり込む。
     いきなりのことに目をぱちくりとさせてから、百はジタバタと暴れる。

    「ちょっとユキさんっ! 何してるんですかっ! スーツ、皺寄っちゃうから離して!」
    「やだ。モモがおはようのキスしてくれないと起きない……」
    「……起きてるじゃん」

     クスクスと笑う声がして、それから「もー。仕方ないですな」と照れ隠しのように告げてから、ちゅっと唇に触れるだけのキスを落とす。

    「足りない……もっとちゃんとしてくれないと起きない」
    「うっ……仕事なんだから、起きて」
    「万だけに行ってもらうから」

     まるで駄々っ子のような千に軽くため息をついてから百は「仕方ないなぁ」と言いながら千に顔を近づける。
     目を閉じて頬を赤く染めて少しだけ手が震えているのが可愛い。
     重なる唇。
     千は誘うように口を開いて、百の舌を誘い込む。
     おずおずと百の舌が千の口内を犯すように忍びこむ。
     まだ慣れていないぎこちなさに焦れたかのように、千は百の後頭部に手を添えて逃げられないようにしてから、百の舌を絡め取る。
     ぴちゃぴちゃと濡れた音がして、飲み込み切れない唾液が百の口の端から流れおち、首を伝う。

    「ん、ふ、んっ……はぁっ……」

     鼻から抜けるような吐息すら甘い。
     いつしか百の腕が千の首にしがみつくように回され、口づけを享受する。
     幾度となく角度を変え、百の唇を思う存分堪能してからゆっくりと唇を離すと、銀糸か二人を繋いでいた。

     切なげに目を細めるその姿は普段の元気で明るい百からは想像できない色香を放っていた。
     そして百をそういう風にしたのは自分だと思うと優越感のような気持ちに胸が高鳴るのだった。

    「気持ち良かった?」

     真っ赤な顔のまま、小さくコクリと頷く百が愛しい。
     夜のベッドの中でどれほど淫らに咲き誇っても、日中はまだ何も知らない生娘のような初々しさを見せる。
     そんな百にますます夢中になっていく気がしていた。

    「起きて、くれる?」

     潤んだ瞳でそう問いかけられて、下半身を直撃する衝撃を覚えたが、いくら千が三大欲求に忠実だとはいえ、コトに及んだりしたら百に本気で怒られてしばらくお預けを食らうことも、相方である万理にも、チーフマネージャーである岡崎にもお説教だけではすまないことも、そして何より仕事に穴を開けたりすることがどれだけマイナスになるのかということを今の千は理解している。
     それに、自分が何かを仕出かしたら謝罪して歩くのは百でもある。
     そんなことをこの子にさせられない。
     となればどう行動すべきかということは、自然と導かれる。
     もそもそと布団から抜け出す。
     モサモサになった髪の毛のまま、ベッドに座り百を見上げる。

    「ん。起きる。シャワー浴びる時間、ある?」
    「うん。そんなにのんびりしなければ。コーヒー淹れておくから、シャワー行ってきて。ユキさん」

     スーツの上着を脱いで、ワイシャツの裾を捲りあげる百の脇を通りすぎる時に耳元に息を吹きかけて囁いてやる。

    「まだ、仕事始まる前だし家の中なんだから、名前、ちゃんと呼んでよ。モモ」

     ひえっとか変な声を出してから恨めしそうに少し低い位置からビーフブラッドルビーの瞳が見上げてくる。
     そして。

    「ユキ」

     と名前を呼ぶと、赤くなった顔を隠すようにして、ファン時代と同じように「も、ムリー!」などと言いながらキッチンへと駆け出して行くのを見送って、千はクスリと笑った。

    「もっと、恥ずかしいこと、いっぱいしてるのに、やっぱり可愛いな。モモ」

     そろそろ本当に用意しなければ遅くなることに気づき、千はシャワーへと向かった。
     目を覚ますためと、百との触れ合いで元気になってしまった下半身を沈めるために。




     言葉が足りない不器用な2人の、体から始まってしまった関係は誤解やすれ違いを繰り返し、そして周り、もっぱら万理ではあるが、を巻きこみつつ、しかし紆余曲折を経てなんとか両思いになって、ちゃんとお付き合いを始めることとなった。

     そして百は、アイドルとしてデビューすることになった万理と千のRe:valeが所属する岡崎事務所に就職を決め、チーフマネージャーである岡崎凛人と共に、サブマネージャー(もっぱら千専任であるのは、当然のことながら千が望んだことである)として日々忙しく過ごしていた。

     寝起きのよくない千を起こすのも百が請け負うことが増え、ましてや本来恋人同士であるのだから早い時間からの仕事の日はそのまま千の自宅に泊まることもあるし、合鍵も所持している。
     憧れていた人と恋人という関係になれた嬉しさはもちろんあるが、まだ駆け出しとはいえ千はアイドルだ。
     当然ながらゴシップはご法度だ。
     女性でないし、マネージャーと立場があるから千の自宅に出入りすることに何の問題もなくいるが、万が一この関係がバレるようなことがあれば、それで千のアイドル生命に取り返しのつかない傷をつけてしまう。
     ある意味まだ女性であれば、いっときの騒ぎで収まる可能性もある。
     だが、男同士となれば偏見が付き纏い、そして千の、Re:valeの未来を閉ざしてしまう。
     それが百の心の中から消えることのない懸念だった。
     千のことは好きだ。
     結婚を考えていた彼女と別れ、決まってた就職を辞めて、家族にも色々と言われながらも、それでも自分を選んでくれた千の元に走った。
     そのことに後悔はしていない。
     だが、本当にそれが正しかったのかと言うことになると、どうしても不安が喉に張り付くように気持ち悪く百を苦しめている。
     コーヒーを淹れながら百は小さくため息を落とした。
     幸せだと思う。
     今が最高にハッピーだと。
     大好きな千に愛されて、仕事とはいえ多くの時間を一緒にいることができて。
     誰よりも近くでRe:valeを見つめることができる。
     こんな幸せ、あっていいのかな。いつかバチが当たるんじゃないかな。
     そんな不安は消えない。
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    ☺☺😭💕
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