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    abrt_akty

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    abrt_akty

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    aktyと悪夢と深夜番組

    「正直さ、まなみさんといると疲れるんだよね。わいと正反対だし、明るいし、無理しなきゃって気になるっていうか。ごめん」

    「どうし……て」
    気が付くと悲しい顔のひろむくんは居なくて、真っ暗な部屋の布団の中だった。時計を見ると午前2時半だ。夢だったのか、と内心ホッとするけど、あの顔がどうしても頭から離れない。

    「まなみさん、大丈夫?具合悪い?」
    ひろむくんが扉の隙間から顔を出して、小声で尋ねてくる。
    「うん……ごめん、大丈夫。邪魔しちゃった?」
    「いや、そんなことないけど、顔色悪いよ」
    不安げに近寄ってきたひろむくんに微笑んでみせるが、十数年の付き合いの前では無駄らしい。

    「……それで、私といると疲れるって」
    「な、そんな訳ない、絶対違うから」
    ひろむくんはあからさまに慌てて、私の夢の中のひろむくんを全力で否定する。
    「うん、そうだよね、ごめん」
    「まなみさんが謝ることないって。夢のわいが悪いんだから……えーっと、じゃあ、テレビ見ようか。一緒に」
    「こんな時間に?何もやってないでしょ」
    あまりの取り乱し様に思わず笑うと、ひろむくんは安心したような笑顔を浮かべる。
    「やっと笑った……ココア、入れてくる」


    まなみさんのマグカップにココアを作る。夜中にココアはよくなかったかな、と若干の不安を抱えつつ、寝室に戻るとサイドテーブルにマグカップを置いた。
    「ありがとう。もうテレビショッピングしかやってなかった」
    まなみさんの悪戯っぽい笑い方は昔から変わってない。わいはまなみさんの隣に腰を掛けて、テレビに視線を移した。

    ダイヤモンドの指輪、真珠のネックレス……と高そうなアクセサリーが立て続けに紹介される。まなみさんもこういうのが欲しいんだろうか。わいに寄り掛かって座る彼女に目をやると、いつの間にか眠ってしまっているようだった。
    わいは彼女を起こさないように隣から抜け出して毛布を掛けてやり、空っぽになった2人分のマグカップを片付けることにした。
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