「……流石に邪魔だな」
洗面台の鏡に映る自分を見ながら、顔の左側の覆う前髪を摘んでサボは顔を顰めた。
最後に切ったのはいつだったか。そんな前じゃなかった気がするけど、前髪って伸びんの早えな、だる。
軽く前髪を横によけてみるがすぐ垂れてくる。まあ左側の火傷跡を隠すために伸ばしてるからよけちゃ意味ねえんだけどな、とサボは独りごちた。
「エース、ハサミある?」
洗面所から顔を出してエースを呼ぶと、おー、と気の抜けた返事が返ってきた。ゴソゴソと布擦れの音が聞こえた後ガチャガチャとプラスチックのなんかを漁ってるやたら騒がしい音が静かになると、工作用の赤い持ち手のハサミを持ったエースが現れた。
「これしかなかったけどいいか?」
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