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    nagisa_1146_

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    謎の律モブR18年齢操作話(なんだこれ)
    ⚠️attention⚠️
    ・前ポイピク「窓辺のかけら」前夜設定
    ・とっても未完(R18です)
    ・当然のように律が拗らせてます
    ・(モブレ(未遂)→律激怒→モトラウマ→)仲直りセの話
    ・濁点、♡喘ぎあり
    ・マーキング程度ですが、噛む、血が滲む
    ・前戯と準備がメイン。スローセッ気味です。

    #律モブ
    RitMob

    甘い抱擁1.
    律と茂夫のバスタイムは、ほぼ確実に夕食後である。
    理由は3つ。1つ、茂夫の風呂を待っていると夕食が冷めるから。1つ、ルームウェアに料理を零すと面倒なことになるから。主に律が。
    1つ、そのまま行為に及んでしまうことがあるから。

    だから普段なら、夕食を食べてから風呂に入るはずなのに、今日だけは違った。

    「ん、…………うッ……」

    茂夫の風呂が長い理由、それは大半が自分で行う腸洗浄である。言ってしまえば茂夫は少食でそこまで必要性はないのだが、かといってやらない訳にもいかず。シャワーノズルを取り外し、細いホースの管をローションを塗った括約筋の部分に押し当てる。

    10月15日、木曜、午後10時。割と情けない姿でバスルームに入り浸っているのは、影山茂夫、通称モブただ1人であった。

    最初こそ本当に慣れなかった。慣れないというか、気持ち悪かった。勿論いきなり一人で出来る訳もなく、何度か律に手伝ってもらって腸洗浄をしていたのだが、ただでさえ尻の穴に異物を突っ込むという醜態の中、蛇口を捻って水を出すと「ひぃあっ」と声が出てしまうことが死ぬほど恥ずかしかった。背中側から覆いかぶさっていた律が堪えきれず笑っていたことも覚えている。

    それからというもの、痴態を晒したくない一心で何とか自分一人でできるようになったのはいいものの……何処までやればいいのかイマイチわからず、必要以上に洗浄してしまっているザマである。

    「ン、」

    喘ぎ…まではいかないのだが、やっぱり狭い穴に何かを入れる時には痛みや違和感を減らしたいが為に声が出てしまう。行為をしている時は自分の声など気にしていないのだが、こうして一人で準備をしていると嫌でも耳につく。耳を塞ごうにも右手にはホース、左手は自分の括約筋を緩めるのに必死なので不可能だが。

    そこからはもう気合いだった。無。これは律と繋がるための準備、と思うと嫌とか違和感とかそんな気持ちはほぼ無くなった。


    2.
    ふと目線を感じ顔を上げると、どうにかこうにかやりきりました、という表情で、もう数え切れないほど行ってきた腸洗浄を終えた茂夫……兄がリビングを覗いていた。律は兄の前に風呂に入っており、既に髪も乾かしてベッドで寛いでいる。茂夫は真っ白なバスローブを着ていたが、律は普段はいている黒のスウェットと緑のシャツを着ていた。

    律個人としては兄だけに大変な思いをさせるのは本望ではないため、腸洗浄を手伝いたいと思っているのだ。思っているし実際以前提案したのだが、「恥ずかしいからイヤ……」とすげなく却下されてしまった。手伝いたいと思っているのは事実なのに。別に腸洗浄している兄を見たいとかそんな下心はない。

    兄弟2人で住むようになって買い換えたふかふかのダブルベッドに沈んでいた体を起こし、いじっていたスマホをベッドサイドの小棚に置く。リビングの外からこちらを伺っている兄の方に向き直って、「おいで」と目配せをした。

    真っ白なバスローブを纏って、何度しても恥ずかしそうにこちらに歩み寄ってくる兄を、律もベッドから立ち上がって迎える。まるでそれは儀式のようで、今からするであろう行為を神聖なものに見せた。

    「兄さん」

    互いの距離が30cm、というところで足を止めた兄を呼ぶ。意識してなかったが低い声になってしまったようで、びくんっとほんの小さく跳ねた肩を見逃さない。律の目線からだと俯き気味の茂夫の表情は伺えないが、耳を見る限り真っ赤になっているのだろうか。怖がる様子を見せない兄に少し安堵する。

    律から小さく1歩前に歩んで、硬直している兄をゆっくり抱きしめる。兄の項の横あたりに顔を埋めて、いっぱいに息を吸う。シャンプーとボディーソープと、兄自身のにおい。風呂上がりすぐだからか、においも体温も暖かく、律の安心感は増していくばかりだった。

    「ん、ふ」

    擽ったいのか、耳元で茂夫が喉を鳴らした。暫くそうして抱きしめたまま背中や頭を撫でていると、強ばっていた茂夫の体から力が抜けていくのを感じる。余裕が出始めたのか緊張が抜けたのか、されっぱなしだった体を動かし、両腕を律の背中に回して抱きしめ合う。今日の律はそれだけで涙が出そうで、今から行為をすることを思い出して我慢する。先日のとある出来事のせいで、もう自分は兄に触れることなんて出来ないと思っていた。

    僕も兄も、抱きしめ合うのが好きだった。お互いを1番に感じられて、隙間もないほどぴったりとくっつくのが1番安心出来る時間だった。お互いの心臓の鼓動が体を通して伝わってきて、いつしか2人は元から1つだったみたいに同期する。いつだってそうしてやってきたはずなのに、なぜあの時はそれを思いつかなかったのか今でも不明瞭だ。

    2人の体温が同じくらいになった時、徐に律は頭を撫でていた右手を兄の顎につけた。そのまま上を向かせて、少しずつ顔を近づける。律の顔が近づくにつれて茂夫の瞼は少しずつ閉じていき、ちぅ、と唇同士が触れ合った時には緩く結ばれていた。

    唇を離そうとすると、律の腰に回していた茂夫の両手が律の頬を包み込んだ。このままキスしていて欲しいというお強請りだ。断る理由もなく、上昇しかけた顔をもう一度下げる。兄の薄くて柔らかい唇が角度を変えて何度もキスしてきて、律はそれこそ夢を見ているくらいの気分で甘んじて受け入れた。

    一際強く吸われて、思わず目を開いた。すると至近距離で視線がぶつかって、目先いっぱいに広がる鴉色に目を奪われる。オニキスみたいに綺麗な瞳だ。余程キスが好きなのか、まだ舌も入れてないのに既に潤んできている。この、こんな恋人を、今から抱けると思うだけで思考が飛びそうだった。

    「口、あけて」

    キスの合間に呟くと、茂夫は素直に口を半開きにした。そのまままた強請るように律の口に近づいてくる。急かされなくたってすぐにドロドロになるまでディープキスするよ、と脳内で独り言ちながら、自分の舌をゆっくりと挿れた。ぬるりとぬめる互いの口内を、茂夫の口内を、ゆっくりと隙間なく舐め尽くす。上顎を撫でてやると「くぅ、」と気持ちよさそうな声が喉から漏れた。

    僕の頬に添えられていた兄の両手を、自分の手でそっと外して腰に戻す。?という顔をした茂夫の頬に自分の両手を添え、もっと奥まで舌を挿れた。

    「んぐっ、ぐっ…んっ」

    喉手前まで挿れてやると、えずいたような音が口内を伝って律の脳に響いた。兄が自分の齎した行為で苦しんでいるという事実に、何故か興奮してしまう。ぐぐーっと自分の体重をかけると、支えきれなかった茂夫がよろけそうになるので片手で腰を支えてやる。背中がしなり、胸がぴったりと密着した。バスローブ越しに胸が刺激されたようで、キスしたままの茂夫の喉から「んっ…んぅ…!」と今までで一際大きな声が漏れた。

    「はぁっ、り……、りつ、りつ」

    名前が呼ばれたところで唇を離す。わざと銀糸を引くようにすれば、それを見た茂夫の目がきゅうっと恥ずかしそうに細められた。獣みたいに舌なめずりをして欲望を隠さずギラつく瞳で見れば、茂夫は一瞬怯んだように身体を縮こまらせてから「これから律に抱かれるんだ」と再認識したような顔をする。一週間ぶりの行為に、2人ともどうしようもないくらい興奮していた。今は何もしてないのに息が上がっている様子を見ると、今の茂夫は「支配される側」に身を投じていることがわかる。一週間前僕にあんな事をされたくせに、それでいいのか?と言いようのない不安が律の脳内に浮かんだ。

    でも、あの時以来僕も兄のことを「支配したい」とずっと思っていた。この一週間は蕩けるくらいの優しさで彼に接したが、早く自分のものであると行為を通して感じたくてたまらなかった。トロトロに溶かして、何も考えられないくらい思考までぐちゃぐちゃにして、僕の下で小さく震える小動物みたいに可愛がってやる。僕の事しか考えられない身体にしてやる。一週間前に封じたはずの闇みたいな気持ちがまたつけあがってきて焦るが、目の前の茂夫はそれを望んでいるようにしか見えなくて。

    「あ、り、つ、…ぐぅっ!?」

    兄の腰と肩をガッと引っ付かみ、体重をかけて横のベッドに押し込む。ふわふわのベッドがたわんで、押し付けた肩がベッドに包まれるように埋まる。

    このままだとレイプまがいに性急にことを進めそうな気がして、律は一度瞼を閉じて息を深く吸った。それだけは、絶対に嫌だった。長いキスで酸欠だった脳が僅かに思考を取り戻し、目の前の景色をはっきりと魅せる。

    真っ暗な部屋の中、窓から差し込む月光が茂夫の身体を照らしている。少し濡れたままの黒髪は、雫を月光に煌めかせている。思わず見下ろしながら髪に手を添わせると、「くふふっ」とくすぐったそうに笑った。まだそんな余裕があったことに驚いたが、今からこのオニキスのような黒い瞳も、ジャムみたいにドロドロに溶かす予定だから問題ない。

    「に、兄さん……その、出来るだけ優しくするつもりだけど……」
    「……律はやっぱり優しいなぁ…。わかってるよ、大丈夫だから、律の好きなようにして」

    好き、愛してる、と言葉にならない気持ちが溢れてきて、居畳まれずに薄いバスローブの上から平べったい胸を鷲掴みにすると、茂夫は「ひぅ」と驚いたような声を出した。そのままローブの上からこしょこしょと乳首を擽ってやると、最初は少し擽ったそうにしていた声が甘さを孕んでいく。

    「ぅ、あっ…ん、ふぅ……それ、すき……♡」

    素直な茂夫の言葉に振り回されそうな自分が嫌で、先程沈めたばかりの茂夫の肩を引き上げて座らせる。えっ、もう終わり?とばかりに残念そうな顔をするのが妬ましい。そうやって可愛い顔すればいいと思ってるんでしょ、無防備すぎるよ。

    「おいで」

    中々律が言わないような科白と甘い声に、茂夫の胸はきゅうっと押しつぶされるみたいに興奮した。律はあぐらをかいて、茂夫を足の間に招き入れる。何をするんだろう、と少し困惑しながら茂夫は四つん這いで這って、ちょこんと律の前に座った。

    「違う、背中こっち」

    あっそういうことか!と慌てて体勢を変える茂夫を横目に、顕になる茂夫の項に息を吹きかけるとびくんっと体が揺れる。ぬと……と舌を這わせると、茂夫は項を見せつけるみたいに項垂れた。
    それがなんだか喰われる前の小動物みたいで、律は後ろから茂夫の顎と頬を片手で掴んで固定すると、思いっきり項を噛んだ。

    「ぃ、ぎっ……!!」

    痛そう、ごめん、でもこの間とは違って、傷つけたい訳じゃなくて…兄の声を聞いて脳内を罪悪感が駆け巡る。……でもそれ以上に、僕のものだって証をこの身体に刻みつけたい。一生離れられなくしたい。兄さんは僕のものだって一生をかけて分からせたい。そんな加虐心がどうしても酷いくらいに燃えてしまって、自分ではどうすることも出来なさそうだった。

    「はぁ…、美味しい」

    ほんの少しだけ滲んだ血を舐めて、吸い尽くす。出来るものなら、喉を掻き切ってしまわんばかりに噛みつきたい。獲物を喰べる狼のように。

    「あ、ぁう……」

    先の胸への刺激と項への刺激が身体に溜まって、痛いはずなのに気持ちいい、と茂夫は感じていた。律、僕、美味しい?気持ちいいよ、項噛まれるの。しあわせ。

    「り、律…、もっと噛んで、僕のこと……律のものにしてほし…」

    思わず口をついてでた言葉に、律が後ろから「あぁ、もう……」と呟く。先程噛んだ部分より少し下の、首の付け根あたり…左側の頸動脈をガツッと噛まれる。「ひ、ぁあ♡」と媚びたような喘ぎ声が出てしまい、ぞくぞくと噛まれたところが快感を拾う。さっきは噛んで直ぐに離れていった口が、吸血鬼みたいに僕の血を求めて皮膚を噛み破ろうとしてくる。僕は歯に力を込められる度に「あ、あ、」とうわ言のように喉を鳴らした。

    僕、いま律に命を握られてるんだ。

    そう思うとずぐん、と下半身が熱に侵される。このまま食べられてしまいたい。僕より大きなその身体で食べ尽くして欲しい。

    もはや理性が飛び掛けの脳で「食べて欲しい」と願うと、律が頸動脈から犬歯をプツッと離して、口の中に含んだ。口の中で傷口をぐりぐりと舐められて、「い、痛ぃっ…」と思わず呟く。

    「!………」

    徐に肩から離れた律の両手が、後ろから茂夫の胸に触れた。その間も律は頸動脈から口を離すことなく、茂夫は胸を揉みしだかれながら首を征服されるという支配状態に持っていかれてしまう。

    「ふ、う、んぅう…っ♡ぁう…」

    胸の周りの筋肉をはだけ出したバスローブの上から揉みしだかれて、マッサージをされている気分になる。時に指の腹でぐりぐりと脇と胸の境を押されて「ふ、うぅん…」と鼻から息が漏れた。

    それでも、肝心の場所には触れてくれない。さっき少しだけ触られたせいで、そこは触られた時の快感をまだ覚えている。早く触って、僕のこと気持ちよくさせて、律。

    「…律、ねえ、先っぽも触って……」

    か弱い声で願うのに、律は唾液でぐちゃぐちゃになった茂夫の頸動脈をバスローブで拭うことしかしてくれない。拭われた時に皮膚がひりついて体が跳ねてしまうが、その後頸動脈に何度もキスをしてくれる律の唇が心地よくてどうでも良くなってしまう。

    その間も、律の両手は胸を揉むだけで、先に掠ることもないままバスローブに皺が寄っていく。顔も見れない、言葉も聞いて貰えない。またこの間みたいな律に戻っちゃったみたい。なんだか孤独になった気持ちで、瞳に涙が溜まってしまう。顔が見たいよ、律…。

    その瞬間、いきなり律の指が乳首を弾き、突然の快感に「んぁっ!?」と高い声が飛び出してしまう。こすこす♡と扱くように親指と人差し指で刺激されたり、親指と中指で胸の肉を集められて人差し指で乳首を優しく引っ掻かれ、いきなりやってきた刺激で声を抑えるのも忘れ喘ぐ。

    「り、つぁ…んっ!あ"っあぁ…♡あ、あ、はぁっ…♡もっ、やぁ"っ♡」

    今まで触ってくれなかったのに、なんで。驚きで思わず律の方を向きかけて、捻った首の無防備になった右側の頸動脈をがぶりと噛まれる。思わぬ刺激に膝立ちのまま背中が反り、腰をつきだすような姿勢で身体を震わせた。

    「あ、あ"ぁっ!?きもち"ぃ…っ♡あ、イッちゃ…う♡り、つ、あぅッ、りつ、律、ッ♡ぃあッ…ぁああああ♡♡♡…………い"、…ぅ……イッちゃ…たぁ……♡あ、あう、ぅ……はぁっ…ん、はぅ……♡」

    乳首への快感の渦にいた中、一際大きい「噛む」という刺激で茂夫はローブの中に出してしまった。1度も触っていない性器から、どぷ、どぴゅ♡と白濁が勢いよく飛び出す。僕、触ってもないのにおっぱいさわられて首噛まれただけで出ちゃった、と射精後の脳内で独り言ちる。

    「…にいさん……」
    「ご、ごめんっ……僕、勝手にイッちゃ…ぁうっ♡」

    最後の1滴まで出したくて、下腹にちょっと力を込めるとぷびゅっ♡と残りの精液がローブを汚した。右側から茂夫の顔を覗いた律と目を合わせながらイッてしまう。律に見られながらイッてしまったという恥ずかしさに興奮して、はぁっと吐息を吐いた。

    「り、りつ…っ…♡……キス、して…」
    「……」

    呆れるほどにトロットロな顔をして舌を突き出してくる茂夫に、律は思わず無言になってしまう。
    勝手にイッて「ごめんなさい」と謝った直後に強請る程、脳が犯し尽くされてると考えたらそれだけで射精しそうだった。この人は本当に計算無しでこんな科白を言うから怖い。

    散々噛み尽くした首と肩に両手をかけ、反動でさっき組み伏した場所にもう一度兄の体を押し付ける。ばふんっと枕とベッドが揺れて、すぐに静寂が訪れる。突然組み敷かれて驚いた茂夫は瞼をぎゅっと閉じていたが、律がその頬に手を添えるとこわごわと開いた。

    おねだりしか出来ない仕方ないお姫様だ、と思いながら、夜空を写す瞳に吸い込まれるように顔を近づける。ぷちゅ、と唇が触れ、茂夫の射精後の身体がゾワゾワと震えた。真っ白な枕の中に埋めてしまう勢いで茂夫の顔を自分の顔で覆う。世界中の他の誰にも見せないように、暗闇の中で2人は舌を絡めた。

    「ん…ふ、んんぅ……っ……ぁふ…んぐぅっ♡」

    こぼれ落ちそうな唾液を茂夫に飲み込ませながら、身体の外も中も自分で満たしたくなる。まだ1度も精を吐き出していない身体が「早く挿れたい」と主張するように、思わず自分の舌を茂夫の喉奥まで突っ込んでしまう。そのまま抜き挿しを繰り返すと、されている茂夫も意図を汲んだのか喉と唇を窄めて「んっん"っ…♡」とくぐもった声を出した。

    何故か必死になって抜き挿しを繰り返していたが、段々息が苦しくなってきてずろぉ…♡と舌を抜き出す。もう一度口付けて、茂夫の口内に飲みきれず溜まっていた唾液を舐めとるように舌で掻き回して飲み干す。はぁ、はぁっと自分の息遣いが荒くなっていくのを感じながら、少しぼやけた焦点で茂夫を見た。

    2人分の唾液でてらてらと光る唇は半開きのままで、頬は紅潮しているようだった。何より、さっきまで林檎みたいに大きくはしゃぐ様な瞳が、酸欠と快感に溺れて溶けだしていた。細められた黒い瞳は月光を浴びて、生理的に出てくる涙がまるで輝く大粒の宝石のように見えた。その瞳には、見下ろす律の姿しか見えていない。

    でも、まだだ。
    もっとぐちゃぐちゃに出来る。もう嫌って言わせるくらい目も、口も、僕の事しか見られないような状態にしてやる。涙と鼻水と唾液で滅茶苦茶になった顔を思い出して、自分の性器が大きくなるのを感じた。

    茂夫のバスローブをぐいっと引き上げて、唾液まみれの口周りを拭いてやる。新たな感触で少し意識が戻ったのか、茂夫は瞬きをして涙を散らした。何もしてこない律を不思議に思ったのか、茂夫が律の方に両手を広げてふわりと笑う。

    「いいよ、律」

    誘われるがまま体を落とすと、ぎゅうっと抱きしめられる。耳元に口を寄せられ、キスの後に発された言葉に脳が真っ白になった。

    「僕のこと、滅茶苦茶にして」



    3.
    ローションはベッドサイドの小棚の一番下に入れてある。兄の言葉を聞いて沸騰した脳で、乱雑に小棚を開けてローションを取り出すと、ベッドに放ってもう一度茂夫を組み敷いた。自分でもありえないくらい息が上がっていて、それこそ本当に獣のようだった。ふぅ、ふぅっと熱い吐息が漏れて、もうこの目の前の天使を無理矢理喰らって罰を受けてもいいんじゃないかと思わせた。

    「……律、脱がせて、くれない?」

    僕の下で、月光と僕の影を体に写す茂夫がバスローブの首元を緩めた。元からもうはだけかけていたが、茂夫が自分の手で乳首のギリギリまで引き下げて誘う。ちらり、と見える乳輪は今までの行為でもう何回も見ているはずなのに、早く見たい、早く舐めたい、と思わせた。

    でもそんな誘うほどの余裕のある茂夫を堕としたくて、律はバスローブを掴む茂夫の手を上から握った。「え」と困惑する茂夫を他所に、そのままバスローブを左右に引っ張る。両手を使って腕からもバスローブを脱がすと、腹の部分まで白い肌が顕になる。

    「ふふ、兄さんたら自分で脱いで誘ってるみたいだね」

    意地悪そうにそう言うと、茂夫は無言のままきゅーっと目をつぶった。首を横に倒して逃避する姿が逆に加虐心を煽られて、姿を現した左右の乳首に茂夫の両手を運ぶ。

    「えっ、なん…!?」
    「自分でいじってみなよ」

    僕を見た瞳は揺れていたが、僕の楽しそうな表情をみたのか、それともこの状態の僕からは逃げられないと知っているのか、観念したようにそろ…と指を動かした。

    「ァ、んぅっ」

    人差し指の腹で少し勃っている乳首を潰すと、茂夫の身体にゾワゾワと緩い快感が広がった。目の前の欲望だけをチラつかせた瞳で穴が空くほど見つめている律を見て、茂夫も快感の欲望のままコリ♡コリ♡と乳首を押し潰しながら捏ねるように動かす。

    「はぁっ♡あ、あぅ…♡おっぱい、きもち"…っ!」

    さっきから見ているだけで何もしてくれない律に見せつけるみたいに胸を浮かせて喘ぐ。もはや恥はなかった。早く見初められて喰べられたい。乳首への快感で再び消え去りそうな理性を言葉に当てる。乳首を人差し指と親指で挟み込んで、ぐりっ♡ぐりっ♡と捏ねたり、五本の指でぴんっと弾くと仕様が無いくらい気持ちよくて目が蕩けた。

    「あぅ"、うぅっ……♡きもちい、気持ちいい、けど…ッ」

    気持ちいいけど。

    「……やだぁっ、律が触ってくれないとイけない…っ」

    快感ばかりが溜まっていって、一向に解放されない身体をくねらせて涙を零す。バスローブにまだ包まれたままの性器は痛いくらいに張りつめてカウパーで染みを作っているのに、さっきみたいに乳首の刺激でイくことが出来ない。

    「僕…っ、律が触ってくれないとやだ……!お願い、律に触って欲しい……」

    羞恥をかなぐり捨てて訴えるが、律に動きはない。ただ睨んだような、苦しそうな瞳で僕を見下しているだけだ。律の心情を考える。僕、あんまり頭が良くないから色々考えられる律と違ってよくわかんないんだ。ごめん、律。自分の気持ちすら今ははっきりとわからない。言葉に出して、言ってよ。……なんでさっきから答えてくれないんだろう。僕のこと喰べてくれないの?見てるだけじゃなくてお願いだから触って、ぐちゃぐちゃにしてよ。律だけのものだってもう一度わからせて。

    頭上の斜め上の窓から月光を受ける茂夫とは対になって、僕を月光から守るかのように覆いかぶさっている律は部屋の暗がりの中にいた。僕と同じ鴉色の目だけが爛々と獲物に狙いを定める獣みたいに輝いていて、他の表情は逆光で読めない。

    律の気持ちが、わからない。

    途端に不安と恐怖が襲ってきて、震えた声で茂夫は律に縋る。僕を置いていかないで。嫌だよ律。僕を見て。僕だけを見て!

    「…僕、律じゃなきゃ…っ、嫌だよ…!」

    途端部屋の空気が入れ替わったように感じた。さっきまで張り詰めていたものが、崩れ落ちるように溶けていく。目の前の律が、いつもの優しい律に戻るような感覚。ああ、気持ちが分かる。

    「…………やっと言えたね、兄さん」

    暗闇の合間から、月光の元に律が降りてきた。目に滲んだ涙を、律の唇が吸い取っていく。ちゅ、ちぅっと吸いつくその唇が優しくて、へらりと笑ってしまう。最後に耳元で「いい子だね」と囁かれ、ぞわぞわと耳元から脳までが快感に包まれる。背中と腰に手を差し込まれ、痛いくらいに抱きしめられた。まるで甘える赤子みたいに律が茂夫の胸に顔を埋め、泣き出しそうな声で呟く。

    「………………兄さんは、僕じゃないと嫌?」
    「……律じゃないと嫌だよ」
    「…どこにもいかないで」
    「………行くわけ…ないよ。僕たち、兄弟なんだから。どこまでいっても一緒でしょ?」

    律がそう言ったんだ。
    律が言ったんだよ、「僕とずっと一緒にいて」って。

    「…兄さん………この間は、すぐに助けられなくて…ごめん…っ……」
    「律のせいじゃないよ。律は何も悪くないんだ、……助けに来てくれてありがとう」
    「僕を、僕を許して……つらかったよね、あの後だって…僕…兄さんを……そんなつもり、なかったのに」
    「もういいんだ、僕は律を許したよ。だから顔を上げて、律。……お兄ちゃんは、大好きな弟の顔が見たいよ」

    手を添えて自分の胸から律の顔を上げると、鴉色の瞳からぼろぼろと大粒の涙が降り注いだ。ああ、苦しんでいるのに、そんな律の美しい顔に見蕩れてしまう。綺麗だよ、僕の律。僕のために涙を流してくれているんだな。律の涙を見るのなんて何年ぶりだろう。それほどにあの出来事は律のトラウマになってしまったのだ。
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    nagisa_1146_

    DOODLE⚠️attention⚠️
    ・まだ未完(今後更新予定(たぶん))
    ・律モブ律+(茂夫(???%))の同棲本
    ・年齢操作(14.13→20歳(大学生))
    ・他キャラの年齢、関係捏造
    ・今後茂夫とモブの書き分けが出るかもしれないのでモブ(兄)と茂夫で呼称を変えてます
    ・100話後、「本当の兄弟」として向き合った2人なので互いにかなりラフな感じです。冗談も悪態もつきます。うぶではないかもです。
    窓辺のかけら1.
    ポットの沸騰の音が小さく脳内に響き、途切れる思考の中で段々と大きくなっていく。やがて寝起きの聴覚には煩わしくなってきて、律はやっとそこで目を開いた。
    右側の窓から朝日…というには少し強い、10時くらいの陽光が降り注いでいる。眩しさで顔を左に背けると、黒猫みたいなふわふわの髪の毛が鼻先を掠めた。呼吸に合わせて、髪の隙間から見える、炊きたての米の白さをもつ肩が動いている。未だ覚醒状態にない律の脳は避けたはずの陽光を求め、さらりとベッドに垂れる髪に顔を埋めた。すすきのはらに居るような、陽だまりを落とした眼前に、またも律の意識は引っ張られて瞼を落としていく。
    「り…ぅ…」
    至近距離にいる律だけが聞き取れるような、か細い寝言。起きている時も夢の中でも、彼が最も発している単語は恐らく「律」という名だろう。微睡む脳内でそう認めてから、律は薄ら笑った。
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