スペシャルメニュー「アオイさん……」
特別講師として喚んだアオキが、おどろ線を背負った暗い様子でアオイを呼び止めた。思い詰めたその調子に、彼女は思わず後退る。
「どう、したんです?」
「実は、折り入ってお願いが……」
シアノからの要請とはいえ、特別講師を頼んだのはこちらなのだ。どうぞ、という意味を込めて、アオイは両手を差し出した。
果たして、アオキはチラシを一枚、差し出した。見れば、縮尺を誤ったとしか思えないすり鉢に、大盛りのきりみフライカツ丼の写真が掲載されている。嫌な予感に、アオイの片眉がひくついた。
「この、カップル限定大盛りカツ丼、に挑戦したいのですが、生憎こちらでは誘える女性の知り合いがいなくて……」
「それ、カップル限定にする意味あります」
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