蓮の実と指先 淀みなく会話をしながら視線は斜め下の手元に向けられ、絶え間なく指先は小さな採れたての蓮の実を剥いては、ひょいと藍曦臣と江澄の皿と交互に放り込んでいる。その江澄の慣れた手つきに見惚れながら藍曦臣は自分の皿から蓮の実を親指と人差し指で軽くつまんで口に放り込んだ。つるりと綺麗に剥かれた蓮の実は美味しく藍曦臣の口角は自然と上がった。
「美味しいね」
「あぁそうだろう。今朝採れたばかりだ。乾燥させれば時期以外でも食べることはできるが……。矢張りこの時期に食べるのが一番旨いからな」
蓮花塢の蓮が褒められてご満悦なのか江澄は機嫌がよさそうだ。
「あの、ところで江澄」
「なんだ?」
「ずっとさっきから私の分も蓮の実を剥いてくれているけれど、剥き方も教わっているし流石に私も自分で剥けるよ?」
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