悪戯娘と悪戯坊主 それは本当に可愛らしいただの悪戯心じゃった。
頭に矢が刺さっているように見える玩具と血糊が手に入ったからそれで遊ん……ごほん! 何か縁結びに役立てられないかと試行錯誤していた我は、たまたま鬼童丸が木陰で寝そべってぼんやり空を眺めておるのを見つけた。
うん、いかにも暇そうじゃ。丁度良いところに丁度良い暇人がおるではないか。鬼童丸にはこれまで散々脅されてきたしたまには少し驚かせてやろうと思って、玩具を装着し、血糊で頬を飾ると、なかなかに恐怖を煽る姿に仕上がった。
準備万端。そろりそろりと鬼童丸の背後から近付いて、努めて弱々しく声を掛ける。
「おぉい助けてくれぇ……矢を、射られて……」
いかにもつらそうに、息絶え絶えにふらつきながら鬼童丸のほうへ手を伸ばすと、奴はあからさまに動揺して立ち上がった。我ながら渾身の演技。これは芝居でも食っていけるのではないか?
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