きっとそれで正解君と出会った日のことを、僕は今でも鮮明に覚えている。
鏡のように似た姿、同じ名前、同じ過去を抱えた僕達。
それなのに君は、僕よりずっと自由で、優しくて、真っ直ぐだった。
「こんな風に惹かれるのは、おかしいよね」
君が笑いながら言ったあの日、僕は何も言えなかった。
だってその笑顔が、僕の胸を痛いほど締めつけたから。
愛されることが許されない存在。
でも、惹かれることは、きっと――避けられなかった。
夜の風が、ふたりの距離を縮めた。
君の手がそっと、僕の指先に触れる。たったそれだけで、僕は心臓を打ち抜かれたみたいに息を詰めた。
手のひらが重なる。
熱が伝わって、鼓動が同じリズムを刻み始める。
「ねぇ、目を閉じて」
君の声が、耳の奥で優しく響いた。
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