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    Saihate7_15_31

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    Saihate7_15_31

    ☆quiet follow

    ショタザベ同士のエグエグ。
    唇が、もう一度重なる。
    今度は、さっきより深く、迷いがなくて。
    舌先が触れ合うその一瞬、世界のすべてが甘く溶けた。

    #エグエグ

    きっとそれで正解君と出会った日のことを、僕は今でも鮮明に覚えている。
    鏡のように似た姿、同じ名前、同じ過去を抱えた僕達。
    それなのに君は、僕よりずっと自由で、優しくて、真っ直ぐだった。

    「こんな風に惹かれるのは、おかしいよね」

    君が笑いながら言ったあの日、僕は何も言えなかった。
    だってその笑顔が、僕の胸を痛いほど締めつけたから。

    愛されることが許されない存在。
    でも、惹かれることは、きっと――避けられなかった。

    夜の風が、ふたりの距離を縮めた。
    君の手がそっと、僕の指先に触れる。たったそれだけで、僕は心臓を打ち抜かれたみたいに息を詰めた。
    手のひらが重なる。
    熱が伝わって、鼓動が同じリズムを刻み始める。

    「ねぇ、目を閉じて」

    君の声が、耳の奥で優しく響いた。

    僕は素直に従う。闇の中、君の気配だけが濃くなる。
    そして、唇に触れたのは、柔らかくて、あたたかくて、少しだけ震えているキスだった。

    重なるだけの、浅くて、深い口づけ。
    心をなぞるように、やさしくて、ひどく切なかった。
    唇が離れる寸前、君が小さく息を呑むのがわかった。
    その音に、僕の奥がざわめいた。

    「⋯⋯ごめん、止まらなくなりそう」

    そう囁いた君が、どうしようもなく愛おしくて、僕はそっと君の首に腕を回す。

    「いいよ、止まらなくて」

    その瞬間、君の胸の奥で何かが崩れた音がした。
    僕もきっと、同じだった。

    唇が、もう一度重なる。
    今度は、さっきより深く、迷いがなくて。
    舌先が触れ合うその一瞬、世界のすべてが甘く溶けた。
    肌の熱がゆっくりと伝わって、身体の奥がやわらかく震える。

    でも、それ以上はしない。
    きっと、それが僕達の選んだ正解。

    ただ寄り添って、唇を重ね合う夜。
    誰にも許されなくても、君といるこの時間だけは――嘘じゃなかったから。

    「ねぇ、僕たちって間違ってるのかな」

    問いかけると、君は少し考えてから、微笑んで答えた。

    「わからない。でも⋯⋯きっとそれで正解なんだよ」

    その言葉が、僕のすべてを肯定してくれた気がして、もう一度、そっとキスをした。

    終わらない夢みたいに。
    君の唇の形を、温度を、今この瞬間だけは全部、僕のものにしたかった。
    それを欲しいと思う気持ちが、誰かに否定されても構わないと思えた。

    唇が離れて、君と目が合う。
    その瞳に映る僕は、少しだけ泣きそうで、けれどちゃんと笑っていた。

    「明日も、君に会えたらいいな」

    ふと零れた僕の言葉に、君はそっと頷く。

    「うん。明日も、明後日も。その先も、ずっと」

    その願いが、叶うかどうかなんてわからないけれど。

    でも今は、君の温度がここにある。
    それだけで、僕は生きていける気がした。

    だからきっと、これが――正解なんだ。



    -END-

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