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    @pcr_723

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    ハッピーーーーーーーーーーーハロウィーーーーン!!!
    現パロ鯉月
    大学生鯉×リーマン月

    #鯉月
    Koito/Tsukishima

    「Trick or Treat!」

    両手を上げてそれらしいポーズをとる私に、悪戯かお菓子の究極の選択を迫られている等の本人はボケッとした様子でソファからこちらを振り返っている。なんて面白味のない反応だ。だが予想通りではあるので大変愛おしくも思う。つまるところ月島なら何をしたって好ましいのだ。この天然タラシめ。
    脳内でそうやって訳の分からないイチャモンをつけて恋人に訳の分からない責任転嫁していた私の姿を、振り向いたままの格好で上から下までじっくりと眺めた月島はようやく口を開く。

    「………それ、吸血鬼の仮装ですか?」
    「そうじゃ!我ながら似合っていると思うがどうが?」
    「そうですねぇ、素材が安っぽい以外は概ねよいかと思いますけど…あ、でも鯉登さん肌色黒だからな。肌の色を青白いくらいにしていたなら、かなりの再現度でしたね」
    「う、うん?そうか?」

    意外だ。予想外の月島の言葉に少し戸惑う。
    シュミレートしていた反応ではまたくだらない事を、だとか、そういえばハロウィンでしたね、とか、余計なものに金を使って、だとか。そういった類の言葉を投げかけられるかとばかり思っていたので、此度の彼の反応は正直予想外で驚いた。月島は吸血鬼に詳しいのだろうか。
    私は特に深く考えてはおらず、大学の友人である杉元が連れて行ってくれたド○キで適当に見繕っただけの仮装だったのだが。

    「ってそうじゃなか!月島は悪戯かお菓子を選ばねばならんぞ!お菓子を与えなければこの吸血之進に襲われ、あられもない喘ぎ声を上げることになるのだからな!」
    「そこ、悲鳴の間違いでは?」
    「吸血之進は処女の血ではなく月島の精を吸うのだ!今決めた!」

    むちゃくちゃな設定を盛り込んだ。
    己の目的は結局のところ、ハロウィンにかこつけて愛しの恋人とイチャイチャ…あわよくばえっちな方のイチャイチャが出来たらいいな〜くらいの考えである。
    洋風のイベントごとにさして興味のない月島なら、ハロウィンも存在を忘れて菓子など用意していないだろう、という目論見なのだ。現に今年のイースターにエックハントの遊びでもしないかと言ったらぽかんとした顔でどんな遊びなんですかそれはと聞かれたのだ。さすがにクリスマスは世間に浸透し過ぎているので分かってはいるようだが。

    ふむ、と何か考えるような仕草をした月島だったが、おもむろにソファから立ち上がり部屋の端に置かれていたエコバッグをゴソゴソと漁り始めた。そうしてつっ立ったままの私の所までやってくると、ずい、と何かを差し出してきた。

    「あぁ恐ろしい。こちらを差し上げますのでどうか悪戯はよして下さい、イケメンな吸血鬼さん」

    ぽん。
    手に握らされたものを見下ろせば、この季節に出回る洋酒の入ったチョコレートの箱だった。

    「…まさかお前がハロウィンに対応しているなんてな。意外だぞ月島ぁ!」

    これ昨年一緒に食べたチョコだな!と、本来の目的も忘れ共に季節のイベント事を楽しめた事実を手放しに喜んだ。あとイケメンって言ってくれた。嬉しい。
    菓子を渡されてしまったので悪戯は出来ないが、これはこれ、それはそれ。恐ろしくポジティブ思考な自分はこの流れでイチャイチャしたあとベッドで別のイチャイチャもしたらいいんだと思考を切り替え始めていた。………が。

    「ところで鯉登さん、Trick or Treat?」
    「ん?」

    空の両手をこちらに差し出して小首を傾げた月島の姿にわっせむぜ…と思いつつ、咄嗟に何のことか理解できずこちらも同じ方向に首を傾げた。そんな私に月島ははぁ、と呆れたような溜息をついて。

    「自分は貰うだけなんですか?」
    「あっ……」
    「悪戯か、お菓子か。です」

    思った以上にハロウィンに対しノリノリな月島は普段と違いどこか蠱惑的で、身長差のせいで見上げてくるその顔もいつもより挑発的に見えた。これがハロウィン効果か…と感動すら覚えてしまう。

    「貰っておいてすまない…あいにく私は菓子を持っていないのだ」
    「………そうですか」

    す、と。自分に差し出されていた両手が下される。これは?もしかして?予想外の?月島からの?悪戯の流れか??????
    いかん興奮してきた。によによと口の端が動くのを止められない。見下ろした月島の表情はどこか微笑んでいるかのような、そんな可愛らしい顔をしてる。

    「では悪戯でよろしいと?」
    「ま、まぁ、うん、そうなるか?…いや、お前仮装していないではないか」
    「………失礼」

    そう言うと月島は私の右手を両手で掴むと………そのまま着古したスウェットのズボンの中に、ズボッと引き込んだのだった。

    「キェェェ!?」
    「仮装ならもうしてます」

    気付きませんでしたか?鯉登さんらしくもない。クスクスと酷く楽しげに笑う月島の予想外過ぎた一連の行動に悲鳴を上げてしまった。

    月島の、ズボンの中に、私の、手が入っている。

    両手で掴まれたままなので驚いて引っ込める事も出来なかった。

    「つ、つつつつき、つき、つきし」
    「ほら…分かりません?しているでしょう、仮装」

    握られズボンの中に入れられた手が、その股間に押し当てられる。パニックになっている思考で、そこにいつも感じるはずの感触が無いことに更に焦った。
    いつもなら部屋着のスウェットの下はボクサーパンツを履いているはずなのに、今、自分が、触らされているのは…なんだ?ほぼ直に月島の下腹に触れている指先が、何か細い、繊細な素材をかすめる。

    「伝えていなかったんですけどね、俺、人間じゃないんですよ」
    「は、はぁ?!」

    する、と。履き口のゴムがだるだるのスウェットの下が脱ぎ落とされる。そこで自分が目にしたのは、紐と僅かな飾りレースで構成された、ほぼ下着の意味をなさないそれに包まれた月島の下半身。
    私が触れていたのはその、陰茎に添えられているだけのような紐の一本だったのだ。

    「……実はね、俺、淫魔なんです」

    熱っぽく囁く月島の両の瞳の中に、有り得ないはずのハート型の瞳孔が見えたーーーーーーーような気がして、そこで。

    私の意識はホワイトアウトしたのだった。
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