君を知らずに100年生きるより⑦終 「この人となら不運になってもいい」と思える人、そう考えた時に、守一郎には一人の姿が思い浮かんでいた。でも、彼は不運を守一郎のために受け入れてくれるだろうか、と朝日に照らされた天井のしみを眺めながら思った。
二人で崖から落ちたら、きっと三木ヱ門は立ち上がって文句を言うに違いない。しかもそれはうんともすんとも言わない崖にむかってだろう。それから状況を確認して、気合を入れて登ろうとするだろうか。
(ああ、きっとそうだな)
その後に、守一郎を振り返って、「行くぞ」と手を差し伸べる。そして二人で崖の上に登ったら「やったー!」と叫んで、抱き合って、喜ぶ。それから学園に帰ってみんなにその事があったと三木ヱ門は得意げに話すかもしれない。
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