愛物の扱い方 中編所変わって、我らがオクタヴィア社の根城にて。
百々新と共に会社へ戻るなり、2人仲良く並んで真っ直ぐに向かったのは、いくつか紙の山がそびえ立っているひとつのデスク。
何という恐ろしい眺めだろうか。たった1人、この悪夢のような山の攻略に挑む相棒の姿を想像すると涙を禁じえない。意識せずとも、勝手に口角の上がる感覚もしている気がするのは気の所為だ。
山の頂上、もとい1番上に置かれた書類を一瞥する。なるほど、確かにこれは新でなければならない業務には見えない。流石に入社して間もない新入社員に任せるようなものではないが、入社から6年は経つ私であれば特に問題はなさそうだ。
とりあえず適当に、と山の中腹辺りに手を添えて、思い留まった。これは、意外と……いや見た目通りかなり量がある。半分も請け負ってしまった日には、こちらまで残業の道連れにされかねない。何も2人揃って情け容赦ない残酷な山の犠牲になる必要はないだろう。既に両手は、中腹よりも頂上に近い地点まで登っている。
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