キミを味わいたいそれは唐突だった。
たまたま、指を切ってしまって血が出た。それを舐めただけだった。
『浮竹の血は甘いね?』
そんなことを京楽から言われて顔が真っ赤になった。何を言っているだと浮竹が言うと京楽はハッと我に返ったのか、ごめん今のは忘れてと言ってどこかへ行ってしまった。
それから、あからさまではないが京楽に避けられている。浮竹はもやもやしながら雨乾堂の布団の中で目を閉じている。
「…嫌われた。そんなこと、ないと思いたい」
浮竹はそう言って目を閉じる。どれほど経っただろうか?誰かが自分の髪を梳いている。
薄ら目を開けるとそこには会いたかった想い人。
「…京、楽?」
「……あ、起きちゃった?ごめんね」
京楽はそう言って困ったように笑ってる。その表情を見て浮竹は起き上がり目にも止まらぬ速さで京楽を抱きしめる。
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