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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    POIPOI 434

    85_yako_p

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    東雲さんと漣。(2018/11/15)

    ##東雲荘一郎
    ##牙崎漣
    ##カプなし

    最近のお気に入り ふわり、と。
     徐々に漂ってくる香りの正体は、小麦粉と砂糖と卵と、たっぷりのバターが焼ける匂いだ。だけど、漣はこの香りの正体を知らない。
     それでも、だんだんと様々な屋根の下で眠るようになった漣は、最近、特にこの匂いが気に入っていた。慣れ親しんだ、らーめん屋と呼ぶ人の家の、生命の匂いのような朝食の喧噪とはまた違う、華やかで穏やかな匂い。
     この匂いが漂うと、漣の眠りは少し浅くなって、ぼやりとする。この甘い匂いにふかふかの布団はぴったりだ。寝返りをうち、布団をぎゅう、と握りしめる。甘い匂いに包まれて、ふわふわと眠りの浅瀬をたゆたう。
     「焼けましたよ。さぁ、起きてください」
     そう告げる声も、とびきり甘い。甘やかされるのは悪くない。漣はぼんやりとそう思いながら、大仰に目を開く。
     その声も、匂いも、全てが彼のためにある甘いものだ。
     王様のように彼は起き上がり、歩き出す。紅茶の匂いが混ざりだして、朝食が始まる。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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