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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    東雲さんと漣。(2018/11/15)

    ##東雲荘一郎
    ##牙崎漣
    ##カプなし

    最近のお気に入り ふわり、と。
     徐々に漂ってくる香りの正体は、小麦粉と砂糖と卵と、たっぷりのバターが焼ける匂いだ。だけど、漣はこの香りの正体を知らない。
     それでも、だんだんと様々な屋根の下で眠るようになった漣は、最近、特にこの匂いが気に入っていた。慣れ親しんだ、らーめん屋と呼ぶ人の家の、生命の匂いのような朝食の喧噪とはまた違う、華やかで穏やかな匂い。
     この匂いが漂うと、漣の眠りは少し浅くなって、ぼやりとする。この甘い匂いにふかふかの布団はぴったりだ。寝返りをうち、布団をぎゅう、と握りしめる。甘い匂いに包まれて、ふわふわと眠りの浅瀬をたゆたう。
     「焼けましたよ。さぁ、起きてください」
     そう告げる声も、とびきり甘い。甘やかされるのは悪くない。漣はぼんやりとそう思いながら、大仰に目を開く。
     その声も、匂いも、全てが彼のためにある甘いものだ。
     王様のように彼は起き上がり、歩き出す。紅茶の匂いが混ざりだして、朝食が始まる。
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