みつけてくれて、ありがとう『お前ら人間は死ねていいよなぁ! 俺はただ、壊れるだけだ!』
そう叫んだのはいつだったっけな。空の色なんが覚えちゃいない。でも、こんな曇天じゃなかった気がする。どうでもいいんだけどさ。
死ぬなんて思ってなかったのが偽りの記憶のなかにいるガキの俺。
死ぬつもりはなかったのが人間だと思い込んでいたときの俺。
もう二度と死ぬことができないのが、今の俺。
ああ、壊れるんだな。俺は。
「……抵抗は不可能だ。お前はもうじき死ぬ」
真っ青な髪はこの世界に似合わない。もう、久しく青空を見ていない。コイツの言葉は、俺の世界からもう消えちまったんだ。
「……俺が、死ぬのか?」
俺は、壊れるだけだ。それなのに、何を勘違いしたのかコイツは言う。
「ああ……もうじき死ぬ。俺が、殺した」
「死ぬ……殺……した……?」
喋ったって意味は無い。こんな、0と1が生み出す周波数。それでもコイツはそれに意味を見いだした。
「そうだ。俺が殺す。……俺はお前の死から目を背けない。殺した命、全部背負って生きていく」
だから死んでくれと、未来を譲れと言ってくる。なんて自分勝手なやつ。なんて、頭の悪いやつ。
「殺す……死……はは、そうか」
「……そうだ」
言ってるだろ。俺は壊れるだけだって。ああ、それでも。
「そうか……ありがとう。俺は、殺されるんだな」
壊されることはないんだ。ここに、命はあったんだ。