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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    タケルと漣のすれ違い。(いつ書いたのかわからない)

    ##大河タケル
    ##牙崎漣
    ##カプなし

    ずれていくアイツの声が出なくなった。
    昨日の夜は大雨で、泊めたアイツが目覚めたのがさっきの話。金魚のようにパクパクと動く口からはなんの音も出てこない。昨日の夜は、雨音が意識の外に向かうほど快活に踊っていた声が、失われている。
    表情と、現状。大方朝飯のことを言っているんだろうとあたりをつけて、トースターで温めたパンを差し出せば、不機嫌そうな顔で何やら言っている。きっと、量が足りないんだろう。
    「これしかないんだ。オマエが突然くるのが悪い」
    不満げな顔。動く口元。パクパク。
    「事務所に行く途中に何か買ってけばいいだろ」
    きっと、仕方ねぇとかそんなことを言ってるんだろう、パクパクと動きながら、薄っぺらいトーストを飲み込んでいく口。

    心臓がうるさい。オレは本当のことを言えないまま、コイツと一緒に玄関をくぐる。


    **********************************


    チビの耳が聞こえなくなった。イラつく。
    何がイラつくって、テレビだのスマホだの、そういう音は聞こえてるみたいなのが腹立つ。オレ様だけを無視するなんていい度胸だ。
    「おい! 冗談ならつまんねーから止めろ」
    薄っぺらいトーストを差し出してきたチビに言う。何を勘違いしてるんだか、チビが言う。
    「これしかないんだ。オマエが突然くるのが悪い」
    見当違いもここまでくると笑えてくる。いや、全然笑えねぇ。適当に、会話らしいものを成立させようとして、自分の異変を認めようとしねぇ。
    「バカじゃねーの?」
    何勝手に、オレ様の声だけを。
    「事務所に行く途中に何か買ってけばいいだろ」
    アイツは適当な相槌を打ち続ける。オレ様はどんどん気分が悪くなる。
    オレ様は足早に事務所に向かう。チビに現実を叩きつける人間を探しに、だ。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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