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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    どうあがいてもタケ漣。(2018年くらい)

    ##タケ漣

    ラブソングのように 口付ける、噛み付く、舐める、飲み込む。
     そんなことよりも、もっと簡単に愛は確かめあえるはずなのに。


    「オマエは俺のこと、好きって言わないな」
     好き、って言葉が形になる前に不満が出た。正直、やっちまったと思った。
     でも、今更撤回もできやしない。本心だ。
     俺の目をじと、と睨み付けて、アイツはつまらなそうに出て行った。

     
     一日目、耳元にはらりと舞った葉が「好きだ」と囁いた。振り向いても、誰もいなかった。風が、笑い声みたいな高い音で空に昇った。
     二日目、眺めた月が静かな声で「好きだ」と呟いた。通りすがりのカップルがキスをしてた。世界で、確かに二人きりだった。
     三日目、しゃがんだ膝に乗り上げて、頬に擦りよった銀の猫が「好きだ」と耳を舐めていった。ひらり、膝から飛び降りた猫は路地裏に消えた。
     四日目、裏路地で見つけたアイツの手を取って、文句を言った。
    「直接言えよ」
    「やなこった」
     お互いに、この荒唐無稽なやりとりをちゃんと理解していた。
     五日目、ランニング中に鳩が喧騒に紛れて。「好きだ」
     腹が立って捕まえてやろうとしたけど、鳩は呆気なく飛び去ってしまった。なんとなく、バカにされてる気がした。
     六日目、レッスン中に文句を言った。
    「もう、いい。わかったから」
    「くはは」
     上機嫌そうなアイツの笑い声。この声で、直接聞きたいのに。なんだか、俺たちに縁のないラブソングみたいだ。どこにいたって見つけてしまうなんて。
    「わかりゃいーんだよ」
     誰も見ていない一瞬の空白で奪われた唇。
     これ以外にも、愛を伝える手段はいくらでもあるってのに。
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