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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    牙崎のための言語が生まれる話です。オリP注意。
    100本チャレンジその5(2021/11/26)

    ##100本チャレンジ
    ##牙崎漣
    ##大河タケル
    ##カプなし

    最小の宇宙 先日、世界に新たな言語が誕生した。その名も『牙崎言語』である。名の通り、アイツのためだけに作られた言葉だ。
    『牙崎くんが日本語を喋ってるの、違和感あるよねー』
     そう言ったのは自他共に認める変人だった。この変人は世界的に有名なクリエイターで、アイツを指名して曲を作りたいとオファーをくれたのだ。
    『だから……牙崎くんのための言語、作っちゃいました!』
     彼のこだわり、あるいは思いつきにより、世界には新たな言語が誕生した。牙崎言語。それはA4の紙に束ねられて俺の手元にもやってきた。どうやら数日間、アイツはこの言語しか話せないらしい。
    「すごいよね。一から言葉を作っちゃうなんて」
     プロデューサーは感心したように呟く。すべての言葉が網羅されているわけではないが、これで日常会話は賄えるらしいから驚きだ。発音はわからないが、とりあえず一通り目を通す。ふと、気がついたことがある。
    「……ありがとうとか、ごめんなさいとか、そういうのはないんだな」
     どんな単語が必要かわからないから、中学でやるような英単語を探したつもりだ。まぁ、アイツはありがとうもごめんなさいも言わない。それは俺の当然だが、不在は望みがもたらしたものらしい。
    「先方が言ってたよ。『牙崎くんにはありがとうもごめんなさいも言ってほしくない』んだ、って」
     なんだそれは。思うやいなや、プロデューサーは「究極の言葉狩りだ」と口にした。
    「まぁ、いいんじゃないか。アイツはどうせこんなこと言わない」
     そう、アイツはこんなことを言わない。アイツが口にしないことはたくさんある。思っているのかいないのか、口にしないからわからない。きっと思ってるはずだって、俺は望んでいるけれど。
     アイツはこうやって塞がれた小さな世界でも、自分勝手にのびのびと生きるのだ。だから、俺の気にすることじゃない。
     この言語には「好き」も「愛している」もないけれど、アイツはどうせ不自由しない。だから、それはどうでもいいことのはずなんだ。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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