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    ぷくぷく

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    すずめさんとAssault

    修理屋はどこかで開いているガチッ
    いつもと違う音がした。
    思わず他の銃に伸ばした手が止まった、嫌な予感がする。手入れはなるべくしているつもりだが、最近引き金を引くことが多かったのは確かだ。

    「だぁーー………ジャムったか…」

    腹立たしい、最近弾薬が不足していたのもあって別ルートで手に入れた弾が悪かったのか。引き金を引いても動かない銃を見れば見るほど腹が立つ。

    「くそ、あの商人ぶち抜いてやる」

    適当な銃なら気にしないが、気に入っている銃の故障ほど腹立たしいものはない。重量のあるストライクガンだが、その重みが鉄屑とは違って好きだった。渋々立ち上がって残りの銃と手元の銃を見比べる。
    残りはそのうちやる、お気に入りが使い物にならないと思うだけでなにもかもやる気になれない、もはや寝てしまおうかと思うほどに。

    「だりぃなぁ、たまには出掛けるしかねーか」

    最近地下道から地上へと移動してきたが、それでも体が冷える夜が続いている。山積みになっているどこで手に入れたのか忘れたコートを適当に引っ張り出して、ジャムった銃ともう一丁銃を手に取った。いつもよりもひんやりと感じる時が地上へとでるタイミングだと思っている。地下道はまともに眠れないくらいには冷え込むからな。

    外にでると、風が体を引っ掻くような痛みを感じる。ひどく寒い。この風がふくとドロも夜に姿を現さなくなる、面倒なのは地下で会うことが増えることだが。梯子を上るさえ手が痛いくらいだがこれくらいは慣れてたものだった。体を冷やす痛みよりも熱する痛みのほうが後々きついからな

    梯子を上りきると冷たい強い風に思わず目を閉じた。怒っても仕方がないことは怒らないが、寒いのが好きかと言われたら嫌いだ。この時間でもネオン街からは光が消えていない、街を一望できるこの場所は、他のドロにも知られていないのがありがたい。この前はどこで会ったか、目を細めて街を見た。

    「ここかよ、ったくもう少しは子供がおやつを買いに行けるところに出してほしいぜ」

    少しいりくんだ路地にシャッターが閉まっている店が立ち並んでいた。一番奥に半分シャッターが空いている場所がある。そこからもれる光が唯一店の目印だが、今日はいつもより人目のつかないところをにいるようだ。ケイに目をつけられたか?

    いつもより探すのが時間がかかった腹いせとして、半開きのシャッターをガンガン叩けば突き刺すような声が飛んできた。

    「うるさいよ!いま何時だと思ってるんだい、まぁたお前さんか!」

    「時間気にするんだったら営業時間を書いておくんだな、読めねえけど」

    シャッターを叩くのをやめると、奥からやってきた顔は口まで尖らせて不機嫌なのが丸わかりだ、ここで笑ったら余計怒られるが。

    「最近店をだしてると、書類を出してないやつらを洗い出してるケイもいるらしくてね、そんなことしていたら余計目をつけられるだろ」

    「大変だなぁ、ここもバリケードはっちまえば?」

    「そんなことしたら客が来なくなるだろう」

    けらけら笑うと、呆れるように眉間にシワを寄せていた

    「今日はなにを修理するんだ?また銃でもだめにしたのか?」

    「まぁ聞いてくれよ。今回オレが手に入れた弾はいつもとは別ルートの名前もねぇ商人からだ、そいつの弾のせいでジャムっちまったからオレが壊したわけじゃねぇんだ。請求書はそっちに頼むぜ」

    「相変わらずよくしゃべる口だねぇ」

    そいつが払ってくれるわけがないだろう、とぶつくさいいながらも工具箱からいくつかなにか取り出して、目の前の机を指先で軽く叩いた。

    「まぁ、どんなもんでも治してやるさ。さっさとダメにした銃をだしな」

    「ありがたいねぇ、すずめのねーちゃん」

    「すずめさんとお呼び」

    代わる代わる工具を持ち変えて、ジャムった原因の弾をあっという間に取り出していた。自分にもこうすることができたら一番楽だが、いつ見ても盗めない技術だ、自分はそんなに器用じゃない。

    「ほら、終わったよ。ほんとに払う金もないのかい?」

    「そこまで一文無しじゃねーよ」

    ざっと眺めてスライドを引くと、コッキングされたのがわかる。試し撃ちしたいが前に店でぶっぱなしたときはひどく怒られたので、仕方なく銃をしまった。
    銃口を上に向けただけで睨まれるんだ、逆にぶっぱなしてみたくなった。

    「これだけありゃ足りるだろ。いつも助かる」

    「あんたねぇ、もう少しはお金の数えかたを覚えなさい」

    机に適当に出した札を手に取ると、丁寧に一枚ずつしわを伸ばして数え始めた。その一枚にどれだけの価値があるのかなんてわかりゃしないし、わからなくても生きていける。最初は無理矢理返されていたがチップだというと渋々受けとるようになった。そのあと銃を磨いてまで返してくれるようになったのが面白かったが。

    「優しいねぇ?オレが出したもんは二度と受けとんねーの知ってんだろ?」

    「だからさ、ありがたいけども、これに見合った働きをできてないからね」

    「真面目だなぁすずめちゃん、顔と同じくらい脳みそにもシワ作ってんな?」

    さすがに頭に拳が飛んできた。一瞬目が眩むくらいの拳に思わず声をあげて笑った。

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