夜の挨拶 ひとりとひとり ハーデスは普段、一般的に健康的とされる生活サイクルを維持するようにしている。
例外は今夜のようにエーテルが少し騒がしい夜で、そんな時はついつい深い時間まで視てしまうことがあった。それは身についた癖のようなものであり、習慣に近い趣味でもあり、エメトセルクの座にあってからは仕事のひとつでもある。
観測した波形の特筆すべき部分を資料にまとめ終わり、所感を書き添え、今夜の作業は一段落。
そのタイミングでエーテル端末が着信を告げた。今はアーモロートを遠く離れてアゼムの職責に励んでいるはずの、彼女自身が設定した奇妙に気の抜ける……これは、メッセージ着信音だ。
直接の通話ではないことを、少し残念に思いながら端末を手に取る。
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