永遠の幸せ『お主ら、何をしているのだ?』
狩りから戻ってきたフェルがドサリと俺たちの横に獲物を置いた。今日はブラックサーペントか。まぁこれくらいならギルドマスターに怒られることもないだろう。
『あのねー、お友達に教えてもらったお花のかんむりをあるじと作ったのー』
自分が作った花かんむりを自慢げに見せるスイに癒されながら、ブラックサーペントをアイテムボックスに仕舞った。
フェルの狩りに着いて行くかと思ったけど、今日は教わったばかりの花かんむりをもう一度作りたかったらしい。ほんと、スイにはこうゆう遊びだけしてて欲しいよ。
などと考えていると、突然スイが俺の肩に飛び乗ってきた。
「わっ! スイ、どうしたの?」
『これあるじにあげるー。こっちはフェルおじちゃんにあげるねー』
そう言うとスイは作った花かんむりを俺とフェルの頭に乗せてきた。
「もらっていいの?」
『あるじにあげたくて作ったからいいよー』
「スイちゃん……!ありがとね、大事にするからな!」
これはアイテムボックスで永遠に保管決定だな。フェルは──
「ふふっ……似合ってるぞ」
『……おい』
むすっとしたフェルの頭にちょこんと乗せられた色とりどりの花々で作られた花かんむりに、思わず笑ってしまった。でもこれはこれで可愛いかもしれない。
そんな俺たちのやり取りを見たスイが、何故か嬉しそうにふるふると震え出した。
「スイちゃん?」
『お友達がね、お花のかんむりをかぶるとずっと幸せでいられるんだって言ってたのー。パパとママが結婚する時にお花のかんむりを被るんだって。あるじはスイのママで、フェルおじちゃんがスイのパパだからお花のかんむりをかぶったらずっと一緒なの』
「スイちゃん!?」
『ほぉ、スイはよく分かっているではないか』
『フェル!!?』
確かに俺はスイを自分の子供みたいに可愛がってるけど、いや、でも、俺がママでフェルがパパ?フェルも満更でもないって顔してるんですけど!?
「フェルさんや、あの、」
『どうした、我が番よ』
番って言われちゃったよ。
『あるじー、今しあわせ?』
「うん、えーっと、そうだな!スイのおかげて幸せいっぱいだぞ!」
『やったー!』
これ、もしかして本当にフェルと番にならないといけないんじゃ……ええ……マジかぁ。
この時の俺の予感は的中し、数年後フェルとの結婚式で花かんむりをかぶらされたよ。
もちろん、スイが作ってくれたお花のかんむりだ。