異世界の恋煩い なんだ、これ。
みんなが狩りに出ている間にお昼ご飯を作ってる途中具合が悪くなり、突然嘔吐した。
加護のおかげで病気にはならないはずなのに……そう思って自分の吐いた
吐瀉物を見ると──
「なんだこれ」
俺は花を吐いた。
花?なんで?異世界の病気か?
「ということがあったんですが」
デミウルゴス様へお酒とおつまみを送りながら、昼間あった出来事を話た。病気にならない身体のはずだけど、もしかしたらってこともあるしね。確認しておくに越したことはない。
『ふむふむ、それは「花吐き病」じゃな』
「花吐き病……俺は病気なんですか?」
『病気と言えば病気じゃが……わかりやすく言えばこの世界の恋煩い、みたいなものかのう』
「恋煩い?」
デミウルゴス様が何を言っているのか理解できない。この世界って恋煩いで花吐くの? 本当に?
「え、俺って今恋煩いなの!?誰に!!?」
『自分のことじゃろうに、何故わからぬのだ?』
「これといった出会いもないですし、身近にそういった女性はいないと思うんですが」
『他に心当たりがあるはずじゃぞ』
他? だってこの世界で知り合った女性なんて……いや、デミウルゴス様は女性とは言っていない。
あれ、もしかして──
『気付いたようじゃのう。こればかりは何もしてやれぬでの、自分で頑張るがよい。ではな』
「あっ、ちょ、待って下さい!」
言うだけ言って、デミウルゴス様との連絡は途絶えてしまった。
だって、そんな、今俺が頭に浮かべた相手は……
「うっ…おえっ」
吐瀉物に混ざって吐き出したのはピンク色のチューリップだった。
ああ、どうしよう。気付いてしまった。
俺はフェルのことが好きなんだ。
※ピンクのチューリップ:愛の芽生え
補足:ムコさんが花言葉とか知ってると思えないけど、鑑定スキルもあるし、吐き出した花の花言葉で自分の気持ちに気付いて欲しい。