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「本当にいいんですか?」
リアンの声が頭に響く。見覚えのあるバンダナが視界にちらちらと過る。
「ああ。リーダーが不在では何かと不便だろうし、ビクトールらも行くと言っているしね。僕は同盟軍に属する人間ではないから、本拠地に残っていても怪しまれることはないだろう」
「なら良かったです。すみません。態々トランから来てもらったのに、ここで待機だなんて言ってしまって。でも、マクドールさんがいればナナミも少しは落ち着くと思うので」
勝手に決めないでと、伸ばした腕では布の端すら掴めそうにない。俊敏性に欠けるこんな動きでは武器は持つことはおろか、弟の足手纏いにしかならないと理解はしている。それでもナナミは、異を唱えることしか出来なかった。
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