天使を拾った日「おや……?」
仕事を終えたばかりの僕は、自身の部屋に入る前に違和感を覚えた。
見慣れたドアの前に人影が見える。
それは裸足のまま体育座りをしていた。
眠っているというには、あまりに静かで生気を感じない。
その異様な光景に一瞬、ぎょっとするがすぐに冷静な思考へと切り替わった。
死んでいるのであれば、警察に届けを出さなければ……。
身元確認のためにもそれの近くに寄る。
よく見るとお腹の辺りが動いており、手首の内側を触ってみても、脈は正常だ。
すうすうと小さく寝息を立てる彼を見てなんだ眠っているだけか、と安心して胸を撫で下ろす。
まだ、十代くらいの少年のようだ。
彼の姿は人間というには、浮世離れしていた。
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