暗い中でも輝く星パフリシアの王立図書館。初めは一族のことや自分の出自、故郷について調べるために閉館間際の1時間、身分と鎧を隠して入って、本を探しては読んでいただけだったのだけれども。いつの間にか司書官に顔を覚えられて、来るたびに声をかけられるようになった。
そこまではまだいい。まだ、許容範囲内だ。だが、あのおせっかいたちに見つかってしまった。
こともあろうに、公の身分もあったほうがいいだろう、とあの姫君と僧侶とアデューのやつが連名して、禁書保管室への入館証と一緒にでっち上げられた肩書が「学者」と「魔導騎士」だった。
「おい。待て。私を、学者、だと?」
「論文は私と姫様がみるのでよろしく頼む。罪人であれ、学問を修めることは許されているだろう。神もお許しになるはずだ」
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