瞼の上から突き刺さってくる眩しい光に意識が浮上する。何度か瞼を震わせながら、鬼太郎は薄らと目を開いた。
遠くから鳥の鳴く声が聞こえてくる。いつの間にか朝が来たらしい。朧げな視界では物の輪郭を捉えることは出来なかったが、明るいような気もする。
「……ふぁ」
まだ、眠い。眠気にとりつかれた頭は覚醒には程遠いようだ。小さく欠伸を溢しうつらうつらと意識を手放そうとしている自分の身体は再び微睡みに堕ちようとしている。
記憶を辿るが予定も用事もなかったはずだ。それなら、急いで目覚める必要はないだろう。朝はじぶんの寝床で惰眠を貪るに限る。
うまく働きもしない頭を回転させてそう自分を納得させた鬼太郎が、大人しく眠りの淵に足を踏み入れようとした、そんな時のことだった。
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