「はあ……」
布団にもぐる鬼太郎の肺の奥底から落胆の溜息が溢れ出てしまったのは、すこぶる散々な目にあわされたせいだった。今日という今日はとんでもなく災難な日だった。
妖怪がらみの相談を解決するはずだったのだが、どうしてあんなことになってしまったのか。考えても答えは導き出せない。そもそも、あれは偶発的な事故、と言っても過言ではないだろう。
(……ああ、あんなもの、おじさんに見られるなんて)
忘れようと考えれば考えるほどに、鮮明に記憶が舞い戻ってきて脳裏に描かれてしまう。羞恥心と絶望感に囚われながら鬼太郎は布団の中で蹲るように頭を抱えた。
ことの発端は数日前に遡る。乳飲み子の両親からの相談が妖怪ポストに寄せられたのだ。自宅にいる一対のぬいぐるみが夜な夜な動き回り、赤ん坊の周りをうろつくのだという。
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