ある日常「なぁ翔?」
「なんスか?アニキ」
「ヨハン知らないか?放課後にデュエルする約束してんだけど…」
「え、ヨハン?見てないっスけど…またっスか?」
「またって…何が?」
「ヨハンとデュエルっスよ!ここんとこ毎日やってるじゃないっスか!」
「そうだっけ?でもよー、ヨハンの奴すげぇんだぜ!日に日に強くなりやがるから、今日は負けちまうかも」
あはは、と笑っているとルビーが姿を見せた。そしてこちらを見る。
「あ」
「アニキ?」
「ルビー見っけ!じゃぁな、翔!」
「あ、アニキ!」
ルビーは慌てて逃げ出した。案内してくれると思ったらどうやら違うようだ。
「ふふん、かくれんぼか?こんな年になってまでんなことしねーっての」
小さく相棒、と呼ぶとハネクリボーが傍らに現れた。くりくりした目でクリクリ、と鳴くのだ。
「よぉーし、ハネクリボー、ルビー追っかけてヨハンの居場所聞き出すぞ!」
《クリッ!》
そう言って十代は駆け出した。
ルビーが逃げ出してからというもの流石ヨハンの為に方向には計画性がありうまく十代をまいてくる。しかしこちらもハネクリボーがいる。
「くっそ~…ルビーの奴本気だな…。よーしハネクリボー、挟み撃ちしようぜ!」
《クリクリ!》
バタバタと廊下を駆ける。
この先は…屋上だ!
《クリッ!》
《るびっ!?》
「よーしっ!追い詰めたぜルビー!」
《るび…》
「さ、ルビー。ヨハンはどこにいるんだよ?」
《…るび?るびるび?》
「え、何?ヨハンに頼まれてルビーを追っかけてたんじゃないのかって?ちげーよ、ヨハンを探してるんだよ。なんだ、ルビーヨハンから逃げてるのか?」
《るびるび~…るび…》
どうやらルビーはアメジストキャットにイタズラをして、アメジストキャットはお怒りらしい。加えてヨハンに告げ口されたらしく、ルビーを探しているそうだ。
「そりゃお前、謝ったらいいだけじゃん。何も怖がる必要ないだろ?家族なんだしさぁ」
《…るびっ》
「それにヨハンの奴方向音痴だから、きっとお前がいなくて困ってると思うぜ」
《るび~…》
《いた、ルビー!》
《るびっ!?》
「ん?」
上空を見上げるとコバルトイーグルが旋回していた。なるほど、ルビーを探しに来たのか。
ヨハンに報告に行くかと思いきやコバルトイーグルはそのまま降りてきた。
《よぉー十代!お前も一緒とは探す手間が省けたぜ》
「なんだぁ?」
《ルビー、十代。ヨハンがレッド寮の前で待ってるぜ。…それとルビー、アメジストキャットはもう怒ってないそうだ。心配してたから早く顔見せてやれよ》
「なんでヨハンがレッド寮に」
《俺に聞かれても知るかよ…。まぁいいや、確かに伝えたぜ!ヨハンにお前らを見つけた事伝えるから、早く来いよ!》
コバルトイーグルはまた飛び去っていった。
でも…なんでレッド寮なんだ?まぁ、行ってみたらわかるか!早くデュエルしてぇ~!
「よし、ルビー一緒に行こうぜ!」
《るびるびっ》
《クリ~…》
「ヨハーン!!」
《るびっ!》
「お、十代!ルビー!」
「はぁ、はぁ、疲れた~!」
「ははっ、走ってきたのか?慌てなくても俺は逃げないって」
「早くデュエルやりたかったんだよ!それよりヨハン!どうしてレッド寮にいるんだよ?」
「え、何言ってるんだ十代。昨日お前の部屋でデュエルやるって言ってたろ」
「え…あ!忘れてた…」
「ま、良いって事よ。ルビー連れてきてくれたしな。アメジストキャット」
《…ルビー》
ヨハンの背後からアメジストキャットが顔を覗かせた。ルビーはまた怒られると思ったのか十代の後ろに隠れてしまった。
《ルビー、ヨハンに告げ口した事は謝るわ、ごめんなさい。…けどね、イタズラして、それが悪いことだって自分でわかってるなら私にも謝って欲しいわ》
「告げ口って…大袈裟だなぁ。話聞いてやっただけじゃん」
《…るびっ、…るびるび…》
《…えぇ、ルビー。許すわ、あなたのこと。ルビーが迷惑かけたわね、十代》
「へ?気にしてねぇよ。俺だって勘違いしてルビーの事追っかけ回しちまったし、怖がらせて悪かったな、ルビー」
《るびっ》
《さ、あなたたちデュエルするんでしょ?室内だからデュエルディスクは使わないのかしら?》
「じゃぁここで一回しようぜ!その後部屋で反省会だ!」
「あぁ、賛成!」
がんばってね、と言ってアメジストキャット達は消えた。
それを見て2人はデュエルディスクを構える。
「「デュエル!」」
今日の勝敗を決したのはヨハンだった。