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    手詰み

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    手詰み

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    死亡したロが新しい血族の真祖として復活する話
    同人にする予定のプロットにもならないメモ

    ドラロナ(無自覚両片思い)が幸せなキスをして終わる予定、すけべもする。

    #ドラロナ
    drarona
    #転化
    inversion
    #死ネタ
    newsOfADeath

    世迷の器ドラルクが事務所で家事をしていると、ロナルドが愛用していたマグが割れた。
    一人でに割れたマグを不吉だな、と考えた所で他の食器やTVにエアコン、ロナルドの私物が一気に壊れ始める。異常な光景にドラルクは驚いて1度砂になった。ジョンも混乱で丸まり回る。
    蘇り呆然としていた所で、ドラルクのスマホに着信が入った。
    ショットからだ。ドラルクは恐る恐るスマホを出ると、ショットの今までに聞いたことがない暗い声が聞こえた。その言葉を理解したドラルクは体の一部を砂にしながら事務所を飛び出し走った。

    ※ロナルド死ネタです
    ショットから聞かされた内容はロナルドの訃報だった。ドラルクが現場についた時には、ロナルドの遺体はブルーシートに包まれ担架に乗せられていた。ヒヨシは顔を青ざめてロナルドの遺体に手を置いていた。
    ロナルド達はある高等吸血鬼と対峙していた、ポンチが現れる常とは違い危険度Sの敵性吸血鬼であった。異形の眷属を従え現れたそれに、ロナルド達は対応を迫られた。予見できなかった為に、逃げ遅れた市民を助けたロナルドはその一撃により死んでしまった。即死だった。
    あまりにも呆気無い最期にドラルクは唖然とした。聞けばその一撃はロナルドの頭を砕き、その内容物を外にぶち撒けたそうだ。損壊した部分は既に回収されている。どれだけの血が出たのかは、ロナルドを抱えたというヒヨシの真っ赤に染まった制服を見れば明らかであった。

    そうしてロナルドは、その短い生涯に幕を下ろした。20の前半の、まだ先のある年齢であった。

    喪主は実兄であるヒヨシが務めた。妹であるヒマリもそばに立っていたが目を痛々しく晴らしていた。
    ドラルクは泣きじゃくるジョンを抱えて、ロナルドを荼毘に付す為の炉の前で挨拶をする2人を見ていた。葬儀は吸血鬼の友人を多く持っているロナルドの為に夜に催された。
    棺の蓋が閉められる前に見たロナルドの顔は、白い布に隠されたままであった。修復不可能なレベルまで損壊していたのだ。だからか、未だ誰もロナルドが死んだとはとても思えなかった。悪い冗談だと、勝手に殺すなと怒りに燃えたロナルドが乱入するのを誰もが待っていた。だが、ついぞそんな彼は現れなかった。
    そして、何度も躊躇い押せなかった火を付けるボタンをヒヨシは漸く押した。ゴオォという音が響くのを誰もが聞いた。あの中でロナルドの遺体は灰になるのだ。
    ロナルドが遺骨となって帰ってくるまで、時間が要る。1人、1人、と退出していく。

    「今、あそこに居るのは本当にロナルドか?」

    半田の声が部屋に響いた。みな何を言うのかと半田を見る。

    「先輩、信じられないかもしれませんが…」

    後輩であるサギョウが、遠慮がちに言う。

    「なら、この気配は何だ?」

    半田の眉間に深いシワが寄った。

    「ドラルク! 貴様ロナルドを転化させてたのか!?」

    半田がドラルクに掴みかかった。ドラルクは半田の勢いに気圧され、砂になった。

    「噛んでないし、そんな話もしたことがない!」

    すぐに復活したドラルクはそう返した。
    どういう事だと俄に騒ぎ始めた。
    すると職員が半ば雪崩れこむように部屋に入った。残った者がその職員を見やると、青褪めた職員は叫んだ。

    「故人様が炉の中に立っています!!」

    混乱で緊張が走った室内に重々しい音がなる。ガコンと炉の鍵が開く音だ。
    炉の扉を見ると、そこには目玉があった。両開きの扉の片側に目玉がギョロギョロと動く。ツクモ吸血鬼だ。
    ヒヨシは咄嗟にヒマリを背で守る。ショット達や半田達も臨戦態勢になる。場の緊張を気にしないツクモ吸血鬼は、自身の仕事だと言わんばかりに扉を開いた。
    すると灼熱の風がヒヨシ達を撫でる。職員が慌てて緊急停止ボタンを押したが、熱気を止めるにはあまりにも遅い。
    火傷しそうな風に煽られ閉じていた瞳を開けると、ロナルドが立っていた。白装束は燃えきり何も身につけてはいなかったが、おかげでロナルドの身に何が起きているのかを雄弁に語っていた。
    見るに耐えない程の損壊した体はじわりじわりと肉が覆い再生していた。火により燃えたであろう皮膚も何事もなかったように再生している。何より、見せられない程に損壊の激しかった頭部は治っていた。そして誰もがその見目に見惚れた。煌々と輝く赤い虹彩に。
    突然、消化器の粉が路の中に注がれた。緊急時用のものだ。勝手に開かれた扉に職員が対応したのだ。真っ白な粉塵により、ロナルドの姿は覆い隠されてしまう。

    「日出男!」

    「ロナルド君!」

    ヒヨシとドラルクが叫ぶが返事はなかった。だが、大量のコウモリが外に向かって飛び立つ。ロナルドが居た方向からであった。
    粉塵が落ち着いた時にはロナルドは居なかった。やはりあのコウモリ群はロナルドなのだろう。

    「御真祖様」

    ドラルクが祖父である真祖に話し掛けた。

    「ロナルド君は…、本当に…」

    ドラルクが躊躇いがちに発したのを真祖は肯定した。

    「うん、吸血鬼化してるね」

    「でも、竜の血じゃない」

    瞬間的にドラルクの怒りが起きる。竜の血が原因でないなら、ロナルドは別の吸血鬼に噛まれたのか?

    「吸血鬼に噛まれて、じゃないね」

    御真祖様の発言に一同が驚く。

    「噛まれてない…とういう事はポール自身の力で?」

    ドラウスがそう問い掛ける。

    「診ないとわからないけど、多分あの子は新しい血族の真祖になるよ」

    早く見つけなくちゃね。

    御真祖様の言葉に一同は頷いた。今のロナルドはどうみても正気ではなかった。
    ヒヨシは本部に連絡すべくスマホを起動させた。同時に着信が鳴る。本部からだった。ヒヨシは着信に出ると、青白かった顔を驚愕に変える。何事か話し、通話を切ったヒヨシは既に隊長の顔をしていた。

    「総員、これより吸血鬼ロナルドの確保に尽力してもらう」

    吸血鬼として目覚めたロナルドは、飛び立ったそばからツクモ吸血鬼を量産していった。
    御真祖様が言うには意図的なものではなく、能力をコントロールできないのだという。ロナルドの能力は、恐らくはつくも吸血鬼化として眷属を作る事である。
    ロナルドの配下にある眷属達は一様に目玉ができる為、非常にわかりやすい。
    主人であるロナルドの気質に似ているのかどの個体も大人しく、見た目の気味の悪さ以外は真面目にその存在価値を示していた。
    つくも吸血鬼だらけになったシンヨコでロナルドを捜索するドラルク達1行。
    ドラルクが1度事務所に戻ると、壊れていた小物や家具類は全て直っていた。驚くドラルクだったが、それらにロナルドの気配を感じた。つまり、この壊れた物をロナルドは直したのだ。それもロナルドの能力によるものなのだろう。
    この後、居住スペースのロナルドの服が数着なくなってた事でロナルドが1度服を着る為に戻っていた事が判明する。
    ロナルドの捜索は続く。ロナルドの気配は大きい上に眷属がいくつもある。その為、気配を辿っても範囲が広過ぎて中々絞れないでいた。
    葬儀に参列していた竜の一族、古き血の吸血鬼も捜索に参加したがかなり難航した。
    理由は気配が広範囲に及んでいる以外にもあった。ロナルドの移動速度が尋常ではなかったからだ。高等吸血鬼の多さに気配酔いを起こした半田は、音の速さで移動するロナルドに追い付けないでいた。
    だが、ロナルドの居た先を突き止める事はできた。何度も巡るうちにある共通点が見え始める。ロナルドはどうやら、人助けをする為にシンヨコ中を駆け回っているらしい。出会う人や吸血鬼、ダンピールもみなロナルドへの感謝の言葉を述べるばかりだった。
    ロナルドの事を知るシンヨコの市民はロナルドの訃報も知っている筈である。その為、通常であれば幽霊だと騒ぐ所だ。だが、その誰もがロナルドを恐れる事はなかった。それだけシンヨコの異常性を理解し、また、ロナルドは市民から愛され信頼されているのだ。
    ドラルク達はそんな感傷に浸ってる場合ではなかった。もう朝日が近付いているのだ、吸血鬼化したロナルドは太陽が効くかもしれないのだ。
    "新しい血族の真祖"の可能性がある以上は、太陽が効かない事も考えられる。しかし、もし効いてしまったら? その考えが一同を焦らせる。
    本部に待機していた吸対職員からの連絡で危険度B程度の下等吸血鬼が出没したとの連絡を受ける。その数は多く、下水で繁殖したのだと考えられた。
    ドラルク一同はこれをチャンスだと考えた。
    今のロナルドは"助ける"為に動いている。
    つまりは現在発生している下等吸血鬼の場所に現れる筈だ。
    早急な下等吸血鬼の駆除と、市民の避難等々を行う為に、散り散りになっていた全員で向かう。
    パニックになり逃げ惑う市民を何とか避難誘導させていく。
    1人、逃げる途中でコケてしまった少年が居た。激しく打ち付けたようで起き上がるのに時間がかかっていた。
    ヒナイチが少年の保護に駆けるが、それよりも接近した下等吸血鬼の爪が少年を襲う。
    間に合わない、誰もがそう予感した。だが、そこに1陣の風が吹いた。
    吹き荒れた風が止み、一人の青年が立っていた。
    ロナルドだ。吸血鬼が恐れる銀の髪を靡かせ、特徴的な外套とコート、帽子がない以外は生前と変わらない姿だった。
    唐突な登場に周囲が驚きで固まる中、下等吸血鬼は弾かれた爪を今度はロナルドへと向けた。だがその爪はロナルドに掴まれた事で、千切られてしまう。耳を塞ぎたくなる程の叫び声を上げたそれに、ロナルドは引き千切った爪を投げ飛ばした。真っ直ぐ愚直なまでに飛ぶ爪は、ロナルドの体長よりも大きいものだ。
    ものともしない勢いで投げられた爪は叫ぶ下等吸血鬼の腹を突き刺した。断末魔が上がり、暫くして動かなくなってしまった。端の方からちりぢりに灰になっていくのを認めたロナルドは、腰を吐かした少年に歩み寄った。少年はあまりの光景にロナルドに怯えていた。
    かたかたと震える少年に何事か呟いたロナルドは、少年の頭を撫でた。そのまま抱え上げて軽い調子で飛んだ。その飛翔は避難誘導をしていた吸対職員の元へ着地し、少年を引き渡した。
    「ロナルド君!」
    ドラルクがロナルドに声を掛ける。
    だが、ロナルドは赤く染まった虹彩を一度だけ向けるだけですぐに飛び立ってしまった。また別の個体の駆除に向かったのだろう。
    サテツ達もロナルドと接触をはかるが、ロナルドはただ淡々と駆除を続けるのみで会話を行う様子はなかった。
    そして空が白み始めた。
    ジョンがドラルクを一度帰ろうと説得をする。だが、ドラルクの足は帰路には向けられなかった。頭では理解しているのだ。帰らねばならないと、ここに居ても今のロナルドと話せないのだと。それでも、もう、ロナルドの傍を離れる事はドラルクにはできなかった。
    朝日が差し、ドラルクの頭髪を焼いた。本当に不味い、とドラルクが覚悟を決めた時、影が差した。見ればロナルドだった。不機嫌そうに眉間に皺を寄せたロナルドは、じっとドラルクを見ていた。

    「…何で帰ってないんだ」

    口から紡がれた言葉に、ドラルクは反射の様に返した。

    「君が居ないからだ…!」

    「…ふぅん」

    ロナルドはただ気のない返事をした。ドラルクが発する怒りに興味がないのか。

    「(…眠い、のか?)」

    ドラルクははたと気づいた。
    ロナルドの瞳は真っ赤だったが、とろみのあるものに変わっていた。子供が眠いのを愚図るような、焦点がやや合わなくなりつつある特有のそれ。

    「…帰ろう、ロナルド君。」

    疲れただろう、ドラルクがロナルドに語りかけるとこくりと頷いた。本格的に眠りへと向かっているのか、ドラルクが言った途端に口を曲げて目をこすり始めた。
    ああ、やっと知った顔だとドラルクが安心したのもつかの間、ロナルドの手によりドラルクは自身のマントに包まれた

    事務所に着いたロナルドはマントに包む為に殺したドラルクを床に置いた。たちまちに再生し、普段の出で立ちに戻る。
    外はすっかり日が昇り、事務所内のブライドの隙間から日差しが差していた。
    それをドラルクはぞっとしながらも、先程から着信が鳴りっぱなしのスマホに出た。
    相手はヒヨシだった。ドラルクは、現在のロナルドは落ち着いており会話も可能である事、眠っている事を伝えた。ヒヨシからは安堵の溜息が漏れた声を聞きながら、現場の状況とロナルドの今後の対応について聞いた。
    現場はロナルドの活躍により、下等吸血鬼の駆除は済んでいた。今は後処理の為に現場に残っている程度だ。幸いにも素早い対処のおかげで怪我人は少なく、施設等の破損も比較的少なく済んでいた。怪我人については、下等吸血鬼の攻撃されたよりも混乱によるものだけだという事であった。
    ロナルドについては、一度VRCで検査を受けた後に吸血鬼化に至った経緯を調査する必要があるという事だった。
    人に害を成さず、寧ろ人助けの為に奔走したロナルドに感謝の言葉が届いていると告げられた。
    ロナルドが助けた少年については、初め酷く怯えていた。だが、ロナルドの「もう大丈夫だからな」という言葉と共に頭を撫でられた事で精神的なダメージの回復は早かったようだ。
    ドラルクはロナルドが目を覚ましたら一度ヒヨシに電話を掛けさせる事を約束して通話を切った。

    「ドラルク」

    ヒヨシとの電話の間に御真祖様と共に入室していたドラウスが声を掛けた。

    「すみません、お父様。お茶も出さずに、すぐに用意しましょう」

    「いや、電話中にお仕掛けたのはこちらだ。私も手伝うよ。」

    ドラルクはドラウスを居住スペースに案内した。
    ロナルドは余程眠たかったのか、いつものソファベッドに横になり寝入っていた。吸血鬼である違和感を除けば普段の通りの寝顔であった。
    ドラウスに手伝ってもらい、すぐに用意できた茶菓子を出して3人は席へ着いた。
    ジョンはロナルドが食べるまでは食べないと菓子に手を付けず眠るロナルドの傍にいた。

    「御真祖様、ロナルド君は何故吸血鬼になったのか分かりますか?」

    「…恐らく、吸血鬼化した魂がポール君の転化を助けたのだろう」

    真祖はそう話し出した。

    「ここの家具は一度つくも吸血鬼化したと、前に話していたね?」

    真祖の問いにドラルクは短く返した。

    「はい」

    「でも、ここの気配につくも吸血鬼のものはない。」

    「…つまりロナルド君の体、…魂に解けて吸収された、とういう事ですか?」

    ドラルクはロナルドの訃報を聞く前の部屋の状況を話した。皿を含め全て小物や家具家電が壊れだした事を、そしてロナルドが一度自宅に戻った際には全て直っていた事を。

    「ドラルクが見たのは、魂が抜けた瞬間だね」

    「魂が抜けた瞬間」

    「そう、通常物は修復不可能なレベルで壊れた時に寿命として宿っていた魂が抜けてしまう。魂を留める器がなくなってしまうからね。」

    「けれど、魂が無理やり抜けきってしまった時は逆に器が先に壊れてしまう」

    「生物の場合は、心停止という形になる。けれど無機物は必ずしもそうではない。」

    真祖は説明を終えて紅茶を一口飲んだ。ドラルクの淹れる紅茶は香りが高く、渋みが少ないまろやかな味わいだった。ロナルドが好みそうなミルクティーに合う味だ。

    「ロナルド君は、今もロナルド君のままなのですか…?」

    ドラルクの声は普段の自信満々な姿勢が鳴りを潜めていた。余程ロナルドという男を気に入っているのだろう、不安を隠す事なく溢した。
    目の前に居るのが、御真祖様と父親だけというのが強かったのもある。

    「それは大丈夫だよ」

    ドラルクは御真祖様を仰ぎ見た。そこで自分は視線を手元に落としていた事に気付く。

    「壊れていた物達が修復されているのは、魂が器に戻った証拠だ。」

    「ですが、魂を留める為に体があるのなら、一度壊れた体に元の魂を戻す事が可能なのでしょうか。」

    「普通は無理だね。」

    「けれど、その普通を覆したんだ、彼は。」

    御真祖様は視線を眠るロナルドへと向けた。深い眠りにつく吸血鬼は3人の古き強力な血を持つ吸血鬼に気付くことはなかった。

    「ポールは、自身の血であらゆる無機物に生を与える事ができる。また、眷属をつくも吸血鬼として生きた魂を吸収し、壊れても再構築し同じ魂の定着ができる、という事ですか。」

    ドラウスが真祖に問う。真祖はその問いに頷いて答えた。

    「聞いたこともない…」

    ドラウスはポツリと呟いた。
    ※死体から眷属を作るグールはあるが、無機物を元の状態に直せる(グールで言うと生前の状態に戻せる意)は異例であるとしている
    御真祖様からは、吸対が出した提案には賛成した。また、御真祖様からもロナルドの状態を確認したようだ。何かあれば連絡をと言い残し、2人は帰っていった。
    もう日は高く登り、深夜中走り回ったドラルクもかなり疲れて眠りたかった。だが、如何にも眠れずロナルドの寝顔を眺めていた。

    「…もう、何処にも、手の届かない所に行かないでくれ」

    ドラルクの切に願う声は誰の耳にも届く事はなく部屋に転がった。
    触れる体温はいつものように熱くなかった。

    ドラルクはそのまま寝落ちたようで、目を覚した時に凝り固まった筋肉と関節の痛みで死んだ。再生しても残る違和感に身体を軋ませながら、ソファベッドを見るとロナルドの姿がなかった。心臓を鷲掴みにされたショックを抱えながら慌てて起き上がる。

    「何慌ててんだ」

    キッチンの方からロナルドの声がした。ついでヴゥンと電子レンジの唸る音が聞こえる。

    「これ俺のだろ? 食べちゃまずかったかよ…」

    「あ、いや…、うん。君のだよ。」

    ※まだまだ続くよ
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