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    アロマきかく

    @armk3

    普段絵とか描かないのに極稀に描くから常にリハビリ状態
    最近のトレンド:プロムンというかろぼとみというかろぼとみ

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    アロマきかく

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    某日誌25より。メモから抜粋+加筆。
    先にこの場面書きたくて書き始めたやつがあったんだけど、なんか全然ダフネんが溶けるところまで進んでくれないんでしびれを切らして直接溶かしました(憤怒)
    あれこれダフネん溶け損じゃね?

    #ろぼとみ他支部職員

    未熟な正義と歪んだ正義 特撮にもそこそこグロいシーンはあるし、それなりにグロ耐性も持っているつもりだった。
     昨日は見るだけで意識が飛びそうな、ヒトの常識の境をぶち壊すようなアブノーマリティが収容された。アイツが危険度の最も高いALEPHクラスだと知ったのは業務が始まってすぐのこと。脱走したアイツを鎮圧するときに、実際、意識が飛んだ。
     今までも意識が飛んで色々とやらかしたことはあったが、大抵の原因は作業中のミスだった。昨日収容されたアイツは見るだけで正気を失いかねない。ヒトの言語で表せるようなモンじゃない。それだけはなんとか解った。
     脱走されたときはそりゃぁもう大惨事だった……らしい。鎮圧しようと真っ先に駆けつけ、『それらしきもの』に向かって目一杯撃った。次の瞬間には業務開始前に戻っていた。後で聞いた話だと、あのとき鎮圧に参加した職員がほとんどパニックを起こしたとか。
     ヤバいってことだけは解っていたのに。解っていたつもりだった。まだまだ頭のどこかで俺はアブノーマリティを舐めてたのか。
     これじゃぁ、まだ『彼女』には会えやしない。

     今日は未観測のツール型アブノーマリティの観測を終えたら、『いつも通り』の業務の予定。まぁツール型だし、観測もすぐ終わるだろう。そうしたら後は少々きついけど『いつも通り』。そう思っていた。
     やっぱり俺はまだまだアブノーマリティを舐めていた。 



     いま目の前で起きていることが現実であることを脳が否定したがっている。
     作業を終えて休憩してたら突然ダフネ先輩が呻いて、振り返ったときには既に先輩の身体の半分くらいが溶けてて……声を出そうとしても、液体の泡立つようなゴボゴボという篭った音しか出せなくて。思わず駆け寄ったけど、たどり着いたときにはもう頭の半分くらいしか、残って、なくて、
     最後に虚空を見上げるような眼球が溶けて、滅茶苦茶な色のマーブル模様に白と黒と、赤が混ざって。
    「……あ、……あ、あ、跡形もなく……溶けてるっす……」
     見たまんまをなんとかして伝えようとしたその声は、掠れて震えて上ずって、それが自分の喉から出た音だと信じられなくて、それと認識するのに僅かな時間を要した。
     一帯に漂う古い絵具のような臭いと、じわじわ床に広がるさっきまで先輩だった形容できない色の液体。一歩踏み出した靴に触れて、べちゃ、と生々しい音を立てる。たじろいで思わず後ずさった。
     ただただ床に広がり続ける先輩だった液体。どろりとして、今までに見たことのないおぞましい色。ヒトを構成する色を無造作にかき混ぜたらこうなるのだろうか。
     まるで俺に縋るように液体はなおも床を這うように流れてくる。喉の奥から声にならない悲鳴が漏れる。
     ほとんど無意識的にその場から離れようとして、それでも先輩だった液体からは目が離せない。目を離したら、アレが先輩だったという事実ごと、押し流されてしまいそうな気がして。
     合成でも、CGでもない。ましてや特撮とは比べるべくもない。先輩が、ダフネ先輩が、全身溶けてぶちまけた絵具みたいになって。その瞬間を、その過程を、確かにこの目で見て。溶け切った先輩だったものを踏みつけてしまったときの、ねっとりとした嫌な感触が、まだ爪先に残っていて……。
     背中が壁にぶつかる。
     その衝撃を契機に、胃のあたりが握りつぶされるような、かき回されるような、瞬間、一気に喉までこみ上げてきて、ついに先輩だった液体から目を背けてしまった。
     必死に口枷の合間に指を突っ込み、隙間を作る。吐き出したものが、先輩だった液体と混ざった。先輩を汚してしまった。冒涜的な事実を認識した途端、こみ上げる罪悪感。結局、胃液が枯れそうな程に吐いた。
     ……ごめん、君から抽出した服、少しだけ汚しちまった。

     TT2プロトコル発動のアナウンスが流れる。震える脚に精一杯の力を込めて立ち上がった。まだ、胃も頭もぐちゃぐちゃで……さっきの先輩みたいに……溶けてしまいそうな感覚が残っている。ぐっと堪えて口内に残る酸っぱいものを無理やり飲み込む。
     手の甲で口を拭おうとして、『彼女』のリストバンドが汚れてしまう事に気づいて。手を翻し、手のひらの側であらためて口を拭う。これ以上『彼女』の正義の証を汚したくなかった。
     俺はまだ、君に会う資格がない。覚悟に見合った力も、精神も、全然足りない。
     覚悟だけじゃぁ、駄目なんだ。強くならないと。強く在らないと。力だけじゃない。心も。

     TT2プロトコルで1日が巻き戻る。何度巻き戻ろうが、この覚悟と想いは維持し続ける。君に胸を張って会いに行けるように。
     俺はアイツの収容室へ入る。昨日、施設に初めて収容された、最高危険度ALEPHクラス。
     正直、見るたびに意識が飛びそうになる。耐えてやる。
     自分がこんなにも矮小だったのかと本能が悲鳴を上げる。耐えてやる。
     身体と精神、同時にヒビが入るような感覚。耐えられる。君から抽出した服が、君の正義が、俺を護ってくれる。ここでヘタレてる場合じゃない。俺は決めたんだから。

     君と真正面から向き合いたい。どんな形であっても、君の『正義』を受け止めたい。
     その覚悟を決めたからには。
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    アロマきかく

    DOODLEたまにはサブ職員さんの解像度を上げてみよう。
    49日目、オフィサーまでも一斉にねじれもどきになってその対応に追われる中、元オフィサーであったディーバにはやはり思う所があるのではないか。そんな気がしたので。
    甲冑で愛着禁止になったときも娘第一的な思考だったし。
    なお勝手に離婚させてしまってるけどこれは個人的な想像。娘の親権がなんでディーバに渡ったのかは…なぜだろう。
    49日目、ディーバは思う 嘔吐感にも似た気色の悪い感覚が体の中をのたうち回る。その辛さに耐えながら、“元オフィサー”だった化け物共を叩きのめす。
    「クソっ、一体何がどうなってやがんだよ……ぐ、っ」
     突然社内が揺れ始めて何事かと訝しがっていたら、揺れが収まった途端にこの有様だ。
     俺がかろうじて人の形を保っていられるのは、管理職にのみ与えられるE.G.O防具のお陰だろう。勘がそう告げている。でなければあらゆる部署のオフィサーばかりが突如化け物に変貌するなどあるものか。

     もしボタンを一つ掛け違えていたら、俺だってこんな得体のしれない化け物になっていたかもしれない。そんなことをふと思う。
     人型スライムのようなアブノーマリティ――溶ける愛、とか言ったか――が収容された日。ヤツの力によって“感染”した同僚が次々とスライムと化していく。その感染力は凄まじく、たちまち収容されている福祉部門のオフィサーが半分近く犠牲になった。そんな元同僚であるスライムの群れが目前に迫ったときは、すわ俺もいよいよここまでかと思ったものだ。直後、管理職の鎮圧部隊がわらわらとやって来た。俺は元同僚が潰れてゲル状の身体を撒き散らすのを、ただただ通路の隅っこで震えながら見ていた。支給された拳銃を取り出すことも忘れて。
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    アロマきかく

    MOURNINGコービン君から見た緑の話。
    と見せかけて8割位ワシから見た緑の話。未完。
    書き始めたらえらい量になり力尽きて改めて緑視点でさらっと書き直したのが先のアレ。
    コービン君視点、というかワシ視点なのでどうしても逆行時計がなぁ。
    そして33あたりから詰まって放置している。書こうにもまた見直さないといかんし。

    緑の死体の横で回想してるうちに緑の死体と語らうようになって精神汚染判定です。
     管理人の様子がおかしくなってから、もう四日が経つ。



     おかしくなったというよりは……”人格が変わった”。その表現が一番相応しい。むしろそのまま当てはまる。
     Xから、Aへと。

    「記憶貯蔵庫が更新されたらまずい……それまでになんとかしないと……」
     思い詰めた様子でダフネが呟く。続くだろう言葉はおおよそ察しがついていたが、念のため聞いてみる。
    「記憶貯蔵庫の更新をまたぐと、取り返しがつかないんですか?」
    「……多分」
    「多分、とは」
    「似た状況は何回かあった。ただし今回のような人格同居じゃなしに、普段はXが表に出ていてAは眠っている状態に近い……っつってた、管理人は。相変わらず夢は覚えてないし、記憶同期の際に呼び起こされるAの記憶は、Aが勝手に喋ってるのを傍観しているような感じだったらしい」
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