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    きいろ

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    きいろ

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    #安赤

    ピクニック(できてる安赤)「ねえ赤井、起きて」
    つんつん、と頬をつつかれて目を覚ました。赤井の頬は柔らかくもないのに、降谷はそうやって起こすのを好む。曰く、そうすることで赤井がゆっくり穏やかに覚醒するのを眺めるのが好きなんだそうだ。
    「……ん、」
    「おはようございます。今日は快晴ですって。ハロと一緒に、ピクニックに行きましょう」
    ちゅ、とさらにキスを落とされて、満たされた気分のまま赤井は起床する。おはよう、とキスを返せば降谷もまたくすくすと笑った。
    今日は二人とも休日だ。降谷は昨日からランチボックスなどの仕込みをしていたようで、赤井が着替え終わった時にはハロともども準備万端だった。おでかけに胸躍らせる小さな犬は主人とその恋人の足元をぴょこぴょこ走って早く早くと急かした。
    「水筒も持ちましたから」
    「ん」
    「帽子も今日はニットじゃなくてキャップで。赤井の肌は日差しに弱いから、つばがあったほうがいい」
    「わかった。ああ、こっちの荷物を持とう」
    「うん」
    彼の白い愛車を走らせて海沿いの大きな公園へ向かう。天気がいいからか、平日にも関わらずなかなかの人だ。面積が広いので、人が多くても適度な距離感は保たれている。爽やかな日差しと潮風が心地よい。
    降谷は広い芝生の上にワンタッチテントを張り、その中に赤井を設置して、ハロと一緒に駆けだした。設置された赤井は大きく開かれたままのテントの入口からその様子を時折眺めつつ、読書に勤しむ。本を読んでいても、この話降谷くんも好きそうだな、などと考えてしまう自分がいた。
    あまり集中できないまま、それでもなんとか区切りのいいところまで読んで、持ってきたお茶を用意する。とは言っても、降谷が魔法瓶に入れてくれた氷入りのお茶をアウトドア用のコップに注ぐだけだ。赤井でもできる。
    コップを持ってテントから出る。ハロには犬用のウォーターボトルを持った。
    「ハロ!もう一回だ」
    「アン!」
    主人がフリスビーをギュイン!と異様に飛ばすが、ハロも慣れたものでなんなくキャッチしてはどやどやと持ち帰る。えらいぞ、やるな!えへへ、どやどや。
    なんてことのない風景なのに、赤井は思わず「ふふ」と笑っていた。恋人も愛犬も愛おしくて、朝からずっと胸がつまりそうだった。
    「あれ、出てきたんですか」
    「うん。そろそろきみたちも水分補給が必要かと思ってな」
    「ありがとう……」
    「アンッ!」
    「なんです、ねえ、赤井、……あの、ええと、」
    「ん?」
    「すごくかわいいかおしてる。……なんで?」
    「かわ……なに?」
    「にこにこっていうか、目尻が下がって、……とにかくかわいい」
    照れたように言われて、赤井もつられて照れてしまった。
    赤井は今日一日、朝からずっと、目の前の恋人にまつわること以外を考えていない。かわいいと言うのなら、それは降谷のせいだ。けれどそれを言うには羞恥が勝ちすぎた。どうしたものかと考えていると、照れながら赤井を見ていた降谷が「うわ、」と呟く。
    「もう、なんで?なんでもっとかわいくなるんだよ赤井。もー」
    降谷はそう言うと悪戯に笑って赤井の手を掴み、テントの中に引きずり込んだ。
    「そんな顔、誰かに見られちゃ困る……しまっておかないと」
    器用な男は後ろ手にテントの入口を閉じる。ハロの死角になるように深くくちづけると、満足そうに微笑んだ。
    「今日のあなた、ずっと楽しそうだ。かわいいのも、僕のためでしょう?」
    「む……楽しいのは確かだが、こういうのは“僕のせい”って言うんだ」
    「赤井、それなんだかもっとそそる響きなんだけど……逆効果ですよ」
    「……そんなに締まらない顔だったか?」
    「きっと僕もね。……嬉しいな、僕が赤井をそういうふうに、した」
    やわらかく起床するように。穏やかに日常を楽しむように。降谷を見て、しあわせを感じるように。降谷を思って頬を綻ばすように。
    あの赤井秀一を、そうした。
    その達成感。
    ワンタッチの安いテントは遮光性はそれなりで、二人の赤い頬を隠しはしない。
    「ハロといっぱい遊んで、ランチをして、帰ったら……あなたをください」
    「……ん」
    「ねぇ、今日も好きですよ。僕の、俺の、俺だけの――秀一」
    「零、」
    かすめるだけのキスをして、熱の籠った目を光らせながらも、降谷は屈託なく笑った。
    「よし!じゃあ赤井を抱き潰さないように、もうちょっと体力減らしてくるな」
    「抱き……!?」
    「あはは、覚悟しとけよ赤井!いくぞハロ!」
    「アンアン!」
    情欲を感じない、健康的な笑みを取り戻した降谷はハロを連れてテントから飛び出した。その耳が真っ赤なのに気付かぬスナイパーはいない。けれどこのスナイパーは彼の恋人だったので、見逃すことに決めた。
    なにより耳が赤いのを探られて痛いのは、こちらも同じだったので。
    日陰にしまわれた赤井は大人しくテントの中にいて、青空の下で繰り広げられる超高速フリスビーを飽きることなく眺める。
    ギュイン!パクッ!いいこだ!アンアン!なでなで。わふわふ。
    「かわいいのは、きみらのほうだよ」
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