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    wafu

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    wafu

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    限黒(成長小黒)
    ※小黒目線と同じ所で中途半端に終わってます
    ※限×鳩・哪×限っぽい話題があります(師父の想像で、実際にあった訳ではないです)
    ※師父の過去の女性関係を捏造しています

    SEXしないと出られない部屋2(師父目線)【後編】 小黒にも意外な質問だったのか、彼も首を傾げる。そして長考に入ったようだった。
     もしも私達でも可能な範囲内であれば、試してみるのも一つの手だ。手繋ぎや関節キス程度であれば造作もない。
     しかし、口吸いや愛撫は、個人によっては重要な場合もあると聞いたことがある。小黒はどの程度なら大丈夫なのだろう。…いや、彼の過去を分析するような思考はやめよう。
     とりあえず、小黒の答えを待とう。私よりこの部屋に詳しい彼なら何か新しい気付きがあるかもしれない。
     小黒がしばらく考え込んでしまったので、その間に私はドア以外の出入り口等がないか、部屋の中を隅から隅まで確認した。天井や壁は安価な作りで破壊するのは簡単そうだ。シャワー室も簡素な作り。ただベッドだけは高級で頑丈な作りに見える。西洋家具には詳しくないから確信はないが…。
     そっと小黒の様子を見ると、まだ悩んでいるようだった。難しい提案だっただろうか。やはり、その…最後までしなければいけない厳格なルールが敷かれているのだろうか。
     改めて冷静に考えると、お互いいい歳をした大人なのだから、性交渉程度で脱出できるなら試してみるのも一案なのかもしれない。もし盗撮の類いがあっても、冠宣がもみ消してくれるだろう。
     しかしそれは、全く恋愛感情を持ち得ず、対等な立場で、この出来事をのちのちまで引きずらない性質の持ち主同士の間でのみ成立するものだ。
     心当たりがない事もない。一緒に閉じ込められた相手が鳩爺や哪吒であれば、もしかしたら「まあ…」「さっさとやって出るか」という話になったかもしれない(もちろんあくまでも仮の話であり、実際に二人が応じるかどうかは全く別問題だ)。
     しかし、相手が小黒なら話は別だ。私は彼に懸想している身。とてもそんな真似はできない。小黒に失礼だし、彼の恋人にも失礼だし、倫理上許されることではない。
     まだ見落としていることはないか確認していると、小黒は考えをまとめたようで声をかけてきた。
     ベッドに戻ると、小黒はなぜか女性体に変化している。
    「師父。あのさ…何をしたら出られるのか分からないなら、一つ一つ試していったらいいんじゃないかな…?」
    と手を差し出してくる。
     …もしや、「手を繋ぐ」を実行するつもりだろうか。確かに客観的に見ても、このくらいなら許される範囲だろう。
     私も手を出して、小黒の手を軽く握る。
     …やはり、このくらいでは開かないか。室内に何も変化がない事を確認後、お互い手を離し、私は小黒の隣に座った。
    「今のは、駄目だったみたいだね」
     小黒が残念そうに呟く。
     そうだな。そのくらいで出られるなら良かったんだが…。
    「…ところで、どうして女性体になっているんだ」
     気になっている事を尋ねると、小黒が残念そうな表情のまま、
    「だって…師父の好みは女性なんでしょ?僕、変化得意だからさ」
    そして慌てたように言葉を紡ぐ。
    「ね、師父は巨乳と美乳と貧乳、どれが好き?他にもお尻は大きい方がいいとか、足が長い方がいいとか…。なるべく師父の好みに合わせるからさ、なんでも言ってね」
     …うん。
     小黒は昔から健気で、相手を思いやる優しい子だった。
     しかし、私を師父というだけで信用してはならない。大小の差はあれど、誰もが心に闇の部分を持っている。お前の師父も例外ではない。
    「小黒、お前がそこまでする必要はないんだよ」
     小黒は責任感が強いから、私達二人が抜けたことで館が困ると思っているのかもしれない。でも本当は老君達がいれば心配いらない。トップと指示系統がしっかりしているから、戦闘員が多少欠けても今の館に問題はないんだ。
    「だって…こうでもしないと、師父は僕を抱いてくれないでしょ?」
     背中が冷える。
     一瞬、自分の願望が幻聴になって耳に届いたのかと思ったからだ。
     ずっと俯いていた小黒が顔を上げていた。いかにも心細げな様子で痛々しい。
    「僕はずっと師父が好きで…でも師父は僕を好きじゃない。それは仕方ないことなんだって分かってるけど…ううん、ずっと分かった振りをしてた。僕は師父の弟子で、相棒として隣に立つことを許されてて…それで満足しなきゃって、いつも自分に言い聞かせてた。」
     ……。
    「でも本当は…ずっと、師父の恋人になりたかった。無理なのに…師父が僕をそういう目で見てくれることは一生ないのに、諦め切れなくて…。」

     ………もしかしたら、私の推測は当初から間違っていて、今回の犯人は空間属性ではなく、ターゲットの望む幻覚を見せる事の出来る能力の持ち主なのかもしれない。
     この部屋の出来事は全て幻覚であり、現実の私は任務中に相手の妖精から精神攻撃を受けて昏倒しているのではないだろうか。
     私は目の前の小黒をじっと見つめた。
     これは本物の小黒なのか、私が脳内で作り上げた幻覚なのか。
     小黒は少し怯んだように一度顔を伏せてから、思い切ったように顔を上げ、口を開く。
    「…師父は僕とHするなんて嫌なんでしょ?大丈夫、僕が全部するから。師父は寝てるだけでいいから……」
     私は今までの言動から、これは幻覚の小黒だと確信した。彼はこんな事を言わない。
    「私は、お前にそんなことをさせる気は一切ない」
     これが私の願望なのか。我ながら浅ましい。
    「ごめんなさい」
     慌てて、そう言いながら、小黒がショックを受けたように顔を背ける。
     しまった。自己嫌悪の感情を、幻覚とはいえ弟子にぶつけてしまった。いや、本当に幻覚かどうかも分からない相手に言うべき言葉ではなかった。
     考えたくはないが、もしかしたら妖精だけに効く媚薬の類いが室内に充満しているのかもしれない。この部屋の性質上、あり得ない話ではないだろう。そうすればさっきからの小黒の言動も理解出来る。
    「そうじゃない。私が言いたいのは…お前が犠牲になる必要はないと言うことだ。性交渉は、想いを言い交わした相手と愛情と敬意を持って行うものだ。それ以外の状況でするものでは絶対にない」
     絶対、に特に力を込めてしまった。もし小黒が本当に本心を言っていたらどうするんだ。
     ………本当に本心?
     そういう可能性もあるのか?
     私は改めて、その可能性に思い至った。我ながら馬鹿者である。あるいは、小黒から思いもよらない言葉をかけられて正気を失っていたのかもしれない。
    いや。
     確かに昔、小黒から告白されたことはある。しかし彼は当時、まだ幼い頃のトラウマが癒えていなかったせいか、唯一の保護者である私に依存傾向が見られた。
     告白は、私に捨てられる不安感から発した可能性が高く、かつ、まだ幼い子供に親愛と恋愛の区別は難しいと判断し、私は「大人になって同じ気持ちだったら、改めて告白して欲しい」と言ったのだ。大人が子供に言う、定番の断り文句だ。
     しかし当時の小黒の恋心が本物ではなかったとしても、今の百歳越えの彼は立派な大人である。今更、幼い頃と同様の勘違いをしているとは考えにくい。仮にもし勘違いだったとしても、さすがにもう自己責任の範囲内だろう。
     え、では、本当に…?
     私は喜びに心を打ち震えさせかけてから、心をグッと戒める。
     いや。
     この不可解な部屋にいる間は、油断出来ない。
     部屋に媚薬の類いが漂っている可能性や、幻覚の可能性もある以上、これが本物の小黒の本心だと受け取るのは早計だ。とりあえず5…いや、3割くらいは本心かもしれないという体で乗り切ろう。
    そうすれば多少冷静な言動を意識できるだろう。浮かれた気分で本心を全て話してしまえば、後で正気に戻った小黒に、
    「え、師父って僕の事好きだったの?キモ…」
    と距離を取られるかもしれない。
     幻覚なら私の脳内だけで完結できるが、媚薬の類いだった場合、のちのち言い逃れできない。
     …いや、私にも媚薬が効いていたことにすればいいのでは?
     普段、気丈な小黒が正気を失うほどの濃厚な媚薬なら、人間の私にも多少は影響が出るだろう。そうだ、それで行こう。もし駄目だったら、冠萱に泣きつくか、霊域に引き籠ろう。

    「小…」
    と意を決して声をかけようとした私と同じタイミングで、
    「もー!」
    と小黒が顔を上げる。
    「師父はモテるから、今まで何十人、何百人とそういうことしてきたんでしょ?だったらケチケチしないでその中の一回くらい、僕にくれてもいいじゃない!」
    と言ってきた。
     え、なん、
     何十…何百人……?
     いや…待ってくれ。
    「さすがに、そんなには…」
     本気でそう誤解されているのか、戯れに口に出しただけなのか判断出来ないが、このまま無言でいると肯定の意味に受け取られそうで、一応否定しておこうと口を開くと、
    「え、そうなの?」
    と好奇心を持った目で見つめられる。
     …私は弟子にどんな人間だと思われているのだろう。まるで色狂いのようではないか。
    「じゃあ、何人くらいとしたことあるの?」
     …「付き合った」ではなく、「した」と述べる弟子の言葉を深読みしてしまうのは私だけだろうか。
     確かに若い頃は同僚との付き合いで何度かそういう店に行ったこともあるが、結婚してからは妻一筋だった。妻が鬼籍に入り、本格的に修行を始めてからは禁欲していたから、そんなに経験はないんだが。
     そう言いかけて、私は口を噤む。
     …世の中の師父は、弟子にそんなプライベートなことまで話すものなのだろうか。「何百人と遊んでる」と誤解されるのは困るが、逆に「少なくて期待外れ」と思われるのもなんだか抵抗感がある。適当に誤魔化したい。そうだ、誤魔化そう。
     私は無言を貫いた。
     小黒もそれ以上は追及してこなかった。
     私は多少ホッとしながら、改めて本題に入る。
    「小黒」
     顔を上げる小黒に、
    「お前の気持ちは分かった。実は私もお前のことが好きなんだ」
    と告白する。
     本物の小黒ではなく、幻覚の小黒、もしくは媚薬で我を失っている小黒の可能性もあると自分に言い聞かせながらの言葉だったが、そう思っていても顔に熱が上がっていっている気がする。そういえば、告白なんて妻と結婚した時以来かもしれない。
     内心ドキドキしながら小黒の反応を窺うと、
    「嘘だね」
    と冷たい表情で吐き捨てられる。
     ……。
     確かに、「これは偽物の小黒かもしれないから、もし彼が大喜びしてくれたとしても本気に取ってはいけない」と自分を戒めながらの告白だったから、若干声が固かったかもしれない。
    「本当にお前のことが好きなんだ」
    と、今度は慎重に想いを込めて告白した。
     小黒は、私をじろりと睨み付けながら、
    「本当に僕のことが好きなら、さっきHしてるでしょ」
    と言ってくる。
     …本当に好きだったら、こんな、誰かに強要されるような状況でHする気にならないのではないだろうか。もし私が小黒の立場だったら、むしろ誠実さに欠けると悪印象を抱くと思う。
     そもそも見知らぬ誰かが見張っているかもしれない場所で、好きな人と初めてを致すなんて嫌じゃないか?
     と思うから、『本当に好きだから、もっと相応しい時と場所で結ばれたい。一刻も早くここから脱出しよう』という風に、話を持って行きたかったのだが…。
     小黒は、そんな私の心を見透かしたように言葉を続ける。
    「好きな子がHしようって言ってるのに、断る男なんていないでしょ?『君のことが本当に好きだから、こんな無粋な場所でしたくない。一刻も早くここから脱出しよう』って嘘ついて、H回避しようとしてるでしょ」
     小黒はそう言い終えてから、勢いよく顔を背けた。
     …え。
     本当に好きだったら…
     ここでH…する、
     のか?
     私は再び、これがジェネレーションギャップというものか…と妙にのんびりした感想を頭の中に思い浮かべていた。
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